教育学部・教育学科 │ 聖徳大学

障害のある教師から学ぶ~視覚障害特別支援学校からゲストティーチャーを招いて~

22.01.25

特別支援学校の先生方の中には、自らも障害のある先生方がいらっしゃいます。

障害のある人が、障害のある人を教えることができるのだろうか…と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、世界的に有名な重複障害者のヘレン・ケラーを教育したアン・サリバン先生も視覚障害があり、盲学校で育った方でした。自らが障害を克服してきたからこそわかる、障害があることの難しさや必要な支援。それは、ヘレン・ケラーとアン・サリバンの物語で完結したのではありません。今もなお続いている、当事者から学ぶ「適切な支援」なのです。

特別支援学校の中でも、特に視覚障害特別支援学校には、全盲の先生方が多くいらっしゃって、担当教科の指導だけでなく、地域の小・中・高等学校への理解啓発活動などでも、活躍されています。

聖徳大学では「視覚障害者の教育」の講義の中で、今年度は埼玉県立視覚障害特別支援学校「塙保己一学園」から中野亮介教諭をゲストティーチャーとして招いて、弱視と全盲の児童生徒への自立活動の指導について、お話を伺いました。中野先生は、この講義の担当の太田裕子教授の教え子でもあります。

 

中野先生をお迎えする前に、この授業では、点字指導と歩行指導についての実技を、視覚障害の疑似体験の形で学びました。

こちらが点字の学習の体験です。

今は点字版を使って点字を打つことは、少なくなりましたが、一人ずつ実際に点字をうつ体験をするためには、やはり点字版による実習が欠かせません。実際の文字を裏側から打つので、左右が逆になり、覚えるのが大変です。ですが、視覚に障害のない学生たちは、点字一覧表をもとに、何とか、自分の名刺を点字で作成しました。

 

また、白杖歩行もアイマスクを付けて疑似体験しました。こちらは教室内での疑似体験の写真です。

狭くて歩きにくいように見えますが、壁や机など、空間を把握する手がかりがあった方がはじめは安心できるものです。

こうした体験をもとに、中野先生をお迎えしました。

はじめに、自分たちが作成した名刺で自己紹介です。中野先生は、どこに誰が座っているかを認識したいので、先生の方が座席の方に来て、一人一人名刺交換をしました(この記事の冒頭の写真をご覧ください)。

自分が打った点字を読んでいただき、みんなほっとしたようです。

 

そして、はじめはこのようにお話を聞いていたのですが・・・

 

中野先生の使用している最新の点字機器に興味関心が高まり間近で見せていただくような場面も。

また、全盲児への触察の指導については、一人ずつ点字の教材をいただいて、それを触らせる方法を、自ら手指をとって指導してくださいました。

 

動画は、点字の図形を触察して認知させるための指導方法です。まず初めに、点字用紙全体を触らせ、どこに何が書いてあるかを把握させます。視覚障害のない人は、点字用紙全体が見て一瞬にしてわかりますが、全盲の子どもは、指先が触れているところしかわかりません。なので、全体をよく触ってから、細部を触らせることが重要なのです。こうしたことは、視覚障害の先生だからこそわかる、指導のポイントです。

そうした点字の図形などを触る経験を積んだ後に、点字の触読の指導に入ります。

点字は点の位置を正確に理解することが重要なので、点字用紙に向かって指が傾くことなく、正確に行をたどれるようになる練習をしていきます。これが線たどり・行たどりの練習の様子です。

このような指導方について、一人一人丁寧に教えていただきました。

さて、チャイムが鳴っても、この日の授業は終わりではありません。

歩行指導の勉強をしてきましたので、その勉強のまとめとして、みんなで交代に中野先生をガイドして、大学の教室から駅の改札口までお送りします。

 

たった一コマの授業でしたが、特別支援教育を志す学生たちにとって、この授業は大変貴重な経験をさせていただいた授業となりました。

例えば、視覚と触覚の情報の取り入れ方の違い。ご自身も視覚障害のある方だからこそ、「見える人は気づかないけれど、こういう指導が大切なのだ」という子供側からみて必要なポイントをたくさん教えていただきました。

 

さらに、今までの「障害のある方には支援を」という、障害のない側からみた一方的な関係から、「障害のある方から教わる」という逆転の経験。これこそ、共生社会が目指す「支援をする側とされる側」の一方向の関係から、「互いに学び合う」という双方向の関係への転換なのです。この新しい障害観こそ、この授業で得た宝物ではないでしょうか。

遠方からおいでいただいた中野先生、本当にありがとうございました。

 

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