2023年度・書道春季展のお知らせ―4年生にインタビュー
24.02.19
毎年恒例の聖徳大学書道春季展が、
今年度は2月23日(金)~25日(日)の3日間、松戸市文化ホール・市民ホールでで開催されます。
この書道春季展は、「卒業制作展」と「書道研究部展」の合同開催となっています。
「卒業制作展」は、文学科書道文化コース4年生の4年間の集大成の展示です。
書道文化コースでは、卒業制作として1人4点の作品に取り組むことになっており、
漢字・かな・篆刻(てんこく・印を彫ること)・調和体(漢字とかなを調和させて書くもの)の各書体の中から、「古典臨書作品」と「創作作品」を含めて制作します。
「書道研究部展」の方は、書道研究部1・2・3年生の部員の作品を展示し、1年間の成果を発表します。
開催に先立ち、卒業制作を完成させた4年生を代表して、浅野千尋さん、梅室鈴加さん、竹花愛実さんのお三方にインタビューをしました。
――卒業制作した作品について教えてください。
梅室さん「漢字2つ、かな1つ、篆刻3つでした。漢字は、楷書の中でもキリッとした北魏(ほくぎ)と隷書(れいしょ)です。かなは粘葉本和漢朗詠集(でっちょうぼんわかんろうえいしゅう・粘葉装という綴じ方の平安時代の冊子本)から、紀貫之の歌2首をとりあげました。篆刻は、長方形と菱形と正方形の3つです」
浅野さん「漢字2つは写経と篆書、かな2つが継色紙(つぎしきし・平安時代の古筆を代表する名品)の臨書と創作作品です。創作作品は、貫之集の歌を、継色紙の字体で書きました」
竹花さん「かなは高野切(こうやぎれ・古今集の現存最古の写本)第一種の臨書、漢字は千字文(せんじもん・古代中国の全て異なる1000字からできた詩)、草書、篆刻、調和体の創作として、アーティストの歌詞を書きました」
――苦労した点、工夫した点はありますか。
梅室さん「かなは苦手なので、誰よりも書いた自信があります(笑)。篆刻では、これまで先輩方がやっていない形にチャレンジしました」
浅野さん「創作作品では、貫之集から、特徴のある字を含む歌を選びました。卒業展が2月なので、『春』とか『梅』とかが入っている歌にしています」
竹花さん「高野切は、3年生の時に切(きれ)の臨書をしたので、巻子本にしたくて巻二十を選びました。創作作品では、臨書した高野切の字を応用しています。漢字は和様が残っていないんです。崩し方を(かなをご専門とする)岩井先生にお聞きしながら、草書も参考にしつつ書きました」
――今年度は、久々に夏の合宿がYOC(代々木オリンピックセンター)で行われたそうですね。3泊4日だったとか。
梅室さん「去年は書道部の部長という立場で、学内の体育館を使う通い合宿をしていました。でも泊まりの合宿は、書ける時間が圧倒的に違います。先輩・後輩のコミュニケーションも広がりますね」
浅野さん「コロナ禍で泊まりの合宿ができず、記録が残っていなかったので色々大変でした。無事終わってホッとしました。最後に披露会があって、後輩に示せたかな、と思っています」
竹花さん「都合で1日だけの参加になってしまったのですが、書かなくてはいけない環境に置かれることでできることがあるなと思いました。焦る気持ちもあるのですが、『みんながんばってるから、がんばろう』という気持ちで書きました」
――書道はいつ頃はじめたのですか。
梅室さん「小学校1年生くらいから始めました。段位は取り終わっているのですが、通っていた教室で今でも続けています」
浅野さん「幼稚園か小1の頃だったと思います。実は、母が書道教室をやっているんです。中3からは外の教室に通っていて、今でも続けています。今後も続けるつもりです」
竹花さん「小学校3年の時から地元の書道教室に通っていました。帰省した時などに指導してもらっていたのですが、就職したら中々帰れないので、書きたい時に、趣味程度で、ということになりそうです」
――卒業後の進路について教えてください
梅室さん「呉服屋さんに就職します。アルバイトで通信制高校のマネージメントや、神社で御朱印を書く仕事をしていて、書道を生かせる職を探してもいたのですが、『和』の仕事ということで、こちらにしました」
浅野さん「私はスーパーマーケットに就職します。筆耕のバイトをしていて、書道の職を探していたのですが」「(お母様の教室を継ぐのは?という質問に対して)母は小学生に大人気のようなので、跡継ぎは難しそうです(笑)」
竹花さん「人材派遣の仕事をします。3年生の時にインターンをした企業です。やりたいことがはっきりしていなかったので、本当に色々なところにインターンに行きましたね」
お三方が笑顔で話す姿から、充実した学生生活だったことがうかがえました。
ぜひ書道春季展の会場で、学生たちの力のこもった作品をご高覧下さいますよう、お願いいたします。