文学部・文学科 │ 聖徳大学

RE科目「文豪を訪ねてⅡ」報告②

25.01.06

「日本一楽しく学ぶ」をコンセプトに設置された聖徳大学文学部の参加型体験授業「RE科目」(REとは、Reality Experience:人生におけるとても貴重な本質的体験という意味)のご紹介です。

今回はRE科目「文豪を訪ねてⅡ」の2回目の学外授業です。安部公房展を開催中の県立神奈川近代文学館(横浜市中区山手町)を訪れました。

作品を詳しく読んだうえで、作家ゆかりの土地を訪問する「文豪を訪ねて」。
秋学期に開講される「Ⅱ」では、太宰治と芥川龍之介がメインテーマです。ただ、今回は少し趣向を変えて、生誕100年になる安部公房の大規模な展覧会を見学することにしました。

安部公房(1924~1993)は戦後の日本文学を代表する作家の一人。時代を先取りした前衛的な作風で知られ、国際的に高い評価を受けていた書き手で、ノーベル文学賞の受賞も期待されていました。今回の展覧会の副題である「21世紀文学の基軸」も、そんな安部の活躍ぶりを表現しているのでしょう。

また、戦後を駆け抜けるようにして活躍した安部公房の作品は、日本の戦後社会とはどういうものなのか、日本人とはどういう存在なのか、科学技術の発達と人間存在のありようはどんな関係を持っているのかなど、今でも切実な問いにあふれています。安部公房を読むことは、やはり日本人や時代のあり方について考え続けた太宰治や芥川龍之介の仕事を考えるうえでも有意義でしょう。

みなとみらい線の元町・中華街駅に集合。まずは、港の見える丘公園で、遠くに海を見ながら横浜市を一望しました。整備された公園で散策にピッタリです。噴水の前でも記念写真を撮りました。

そして、公園内にある県立神奈川近代文学館へ。日本を代表する文学館の一つで、年に何回かは訪れたいところです。最初に展覧会を担当した学芸員の方が、安部公房の生涯や作品の特徴を詳しく解説してくださいました。

会場では安部公房ゆかりの資料がいっぱいに展示されています。芥川賞受賞作『壁-S・カルマ氏の犯罪-』の直筆原稿。独自の発想の跡をたどるメモの数々。自らによる版画や写真。代表作の『砂の女』や『箱男』をめぐる展示。劇作家としても活躍したことを示す演劇関連の資料。画家、舞台美術家、装丁家としても活躍して安部公房を支えた妻の安部真知についての展示。

充実した会場をゆっくりとめぐっていると、この独特な作家の世界にどっぷりと浸かった気分でした。ちょっとした異世界体験に疲れた後は、ミュージアムショップで買い物。図録『生誕100年 安部公房 21世紀文学の基軸』(平凡社)、会場で先行販売されていた安部公房、三島由紀夫、大江健三郎の対話集『文学者とは何か』(中央公論新社)などを求める人もいました。

最後に、文学館内の喫茶室で休憩。いつのまにか暮れていく野外を見ながら、友と文学の話にふけるのも格別の時間でした。

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