文学部・文学科 │ 聖徳大学

図書館情報コース推薦図書②

20.04.27

【1年生・高校生対象】
・篠原ウミハル『図書館の主』芳文社, 全15巻. 2011-2017. kindle版あり →Amazon 
主人公御子柴貴生は、公立図書館から私設の「タチアオイ児童図書館」立ち上げのためにスカウトされた優秀な司書。しかし、超タカビーな彼は利用者に向かって、第1巻から「お前は「子供向けの本」をバカにできるほど大人だとでもいうのか!」とぶっ放し、第13巻では、同僚に「俺たちが本を読むのは知識をふやすためだけじゃない 本を読む人間の気持ちを理解するためでもある」と心にササル助言を。随所で正論をはく彼は、なぜか子どもたちに好かれ、二人の図書館員にも信頼されています。加えて「図書館の米騒動」を例に、学校図書館の資料揃えの問題(第11巻)を話題にする等々、このライブラリー・コミックもまた奥が深いのです。でも皆さんは、御子柴のしゃべりをまねしてはいけません。聖徳の「礼法」でしっかりマナーを身につけライブラリー・アテンダントを目指しましょう。
(推薦者:村山隆雄先生)

・国際子ども図書館:絵本ギャラリー「江戸絵本とジャポニズム」 →ここをクリック↗
「絵本ギャラリー」は絵本に関する貴重な資料を画像や音声で提供している国際子ども図書館のwebサイトです。現在9つのコンテンツが公開されていますが、その中から「江戸絵本とジャポニズム」の江戸絵本の章を紹介したいと思います。江戸絵本として草双紙10作品が挙げられていますが、昔話が主体のためみなさんが良く知っているものも多いかもしれません。でもたとえば『桃太郎宝の蔵入り』をよく聞いてみてください。みなさんの知っている桃太郎とちょっと違いませんか?どこが違うでしょう?どうして違うのでしょう?ぜひ考えてみましょう。とはいっても難しく考える必要はありません。読み聞かせを楽しむつもりで気軽にみてみてくださいね。お時間がある場合は、解説やジャポニズムの章もご覧ください。また、今日までの絵本の歴史についてもっと知りたいと思った方ははじめて学ぶ日本の絵本史シリーズもおすめです。
(推薦者:片山ふみ先生)

・モーリーン・サワ 文、ビル・スレイヴィン 絵/宮木陽子、小谷正子訳『本と図書館の歴史-ラクダの移動図書館から電子書籍までー』西村書店、2010年 →Amazon
人類がどのようにして知識情報を記録し、保存してきたのか。緻密なタッチと温かみのある色彩で描かれたイラストとともに、古代から電子図書館まで、図書館と本を巡る歴史がわかりやすく紹介されています。この本自体は子どもにわかりやすいように書かれた児童書(知識の本)ですが、内容が濃く、一つひとつのエピソードをしっかり理解しようとするならば、世界史、政治、情報技術など幅広い知識が必要になります。歴史を俯瞰しながら、図書館の学びの深さと多様さに触れていただければと思います。
(推薦者:石井大輔先生)

【2年、3年、4年生対象】
・小林真大『文学のトリセツ 「桃太郎」で文学がわかる!』五月書房新社, 2020. →Amazon
漫画、女性雑誌、コマーシャルなども卒論のテーマにとりあげることができます。その時には、批評理論の概要をつかみ、文化批評を知っておくとよいでしょう。本書は、日本の昔話「桃太郎」を題材に様々な批評理論がわかりやすく書かれています。本書を読了後は、M.シェリーの『フランケンシュタイン』を読み、廣野由美子著『批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖学講義』(中公新書, 2005)に進むことをお薦めします。同書は小説技法、批評理論を簡潔に解説し、本の多様な読み方に導いてくれる名著です。
(推薦者:村山隆雄先生)

・松岡享子『子どもと本』(岩波新書)2015 Kindle版あり →Amazon
・赤木かんこ『子どもに本を買ってあげる前に読む本』ポプラ社,2008 →Amazon
これらの本が提供するのは児童資料を選ぶときの考え方です。読み比べると正反対のことを言っているように感じるかもしれません。でも、「どのような資料を用意すれば子どもたちは幸せになれるのか?」について真剣に考えているところは同じです。あえて欲張って2冊挙げました。あなたは図書館員としてどのような資料を子どもたちに提供したいですか?
(推薦者:片山ふみ先生)

・アヴィ・スタインバーグ著/金原瑞人、野沢佳織訳『刑務所図書館の人びと:ハーバードを出て司書になった男の日記』柏書房、2011年 →Amazon
「受刑者の中で、一番司書に向いているのが風俗の男」衝撃的な一文で始まる本書は、ボストンの刑務所図書館で司書をしていた青年(名門ハーバード大卒)の実体験を元にして書かれています。この図書館の利用者の大半は受刑者。銀行強盗、殺人、詐欺、銃器密売・・・。さまざまな「経歴」を持つ彼らに、図書館サービスを行う。普通ならば尻込みしてしまう状況です。そんな少し(?)特殊な図書館で起きる事件やエピソードは、なるほど、サービスの本質を突いていて、読み終わる頃には冒頭の言葉の意味が理解できると思います。
(推薦者:石井大輔先生)

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