文学部・文学科 │ 聖徳大学

2019年度卒業論文口頭試問

20.03.11


2020年1月末、コースごとに卒業論文の口頭試問が行われました。
本日は、日本語・日本文学コース、歴史文化コースの様子を紹介します。

【日本語・日本文学コース】
日本語・日本文学コースの卒業論文では、今年度も多彩なテーマが並びました。卒業生たちは自分が書いた論文を手にして、一人一人、試問室に入っていきます。先生たちから次々に温かくも鋭い質問が浴びせられます。それに懸命に答える卒業生たち。
研究成果をめぐって熱のこもったやりとりが展開されました。

今年度のラインナップの一部を紹介しましょう。

まずは、『うつほ物語』(平安中期に成立した日本で最初の長編小説)における、あて宮求婚譚をめぐる労作が目をひきました。その贈答歌に見られる品物について注目したものです。セミの抜け殻など、なぜ変わったものが使われたのか。物語の成立をめぐる考察がスリリングでした。

夏目漱石の『門』については、主人公夫婦が住んでいる家や場所に注目した論文が提出されました。2人の置かれた位置が目に見える形で迫ってきました。

井伏鱒二の初期短篇における「水のイメージ」を追いかけた論文もユニークなものでした。水を通して外界とつながったり、他者と交流したり。先行研究を踏まえて、明快に論じられていました。

井上靖の初期現代小説に描かれた男女のありように論点を絞った作品も議論を呼びました。そこに見られる深いニヒリズム(虚無主義)と救済への思い。それがどのように展開されていったのか、興味深いところです。

他にも、源氏物語の源典侍(げんのないしのすけ。老いた色好みの高級女官)を論じたもの、平安時代のひな遊びに注目したもの、森鷗外『雁』の脇役を論じたもの、小川洋子の長編小説において主人公と他者の交流がどのように描かれているかを研究したもの――など、いずれも意欲的な研究が並びました。

卒業後、いろいろなことが待っていると思いますが、必死で考えを深め、論文をものにした経験を胸に、楽しく前向きに人生を送ってほしいと思います。

【歴史文化コース】
 歴史文化コースでは、1月27日に口頭試問がおこなわれました。本コースでは、歴史学、美術史、考古学、民俗学の専門の先生がゼミを担当し幅広い学びを深めることができます。学生たちは専門の先生に指導を受けながらこの一年間ひたむきに卒業論文の作成に取り組んできました。
 口頭試問は、これまで学んだ先生の他に、専門領域の違う先生からも質問・指摘をうけます。学生たちは一生懸命自身の論文について受け答えをしていました。
 本年の卒業論文は、「死者供養の民俗学的研究」、「酒呑童子説話の成立」、「中原淳一の『それいゆ』と戦後の女性たち」、「菅野スガ」、「平安時代の病気と治療」、「近代女性画家の活動ー長谷川春子を中心にー」など、歴史文化コースの幅広い学びを反映した題目が並びました。
 専門は違えども、大事なことは一次史資料といかに向き合い、考えを深めていったかということ。学生たちはこの一年間、史資料を読んできた自信を胸に先生方の質問に真摯に答え、口頭試問を終える頃は、晴れやかな誇りに満ちた表情になっておりました。
 口頭試問も含めた卒業論文で培った自信は、今後の学生たちの強い基盤になるに違いありません。
 教員一同、学生たちのさらなる活躍を祈念した一日でした。

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