日本語・日本文学コース中間発表
25.10.11

日本語・日本文学コースの中間発表は、9月9日と10日の2日間に分けて行われました。
ゼミの先生から簡潔に紹介があった後、1人1人がパワーポイントなどを使った資料を用いて発表、その後は先生方から質問や意見が向けられ、議論が深められます。
日本文学と日本語学に関する力のこもった発表と議論が続きました。


古典文学の分野では、和泉式部日記における「月」の描写に注目し、作品内での効果を分析するもの、物語作品に登場する「琴」に注目し、登場人物のキャラクター造型と結びつけるといった研究といった、丁寧な労作が目をひきました。
そのほかにも、説話文学における地獄(地獄や鬼などは例年人気があります)や、近松門左衛門の世話物作品の登場人物名に注目するもの、伊達政宗の残した和歌に注目するもの、といったように、自分の「好き!」を研究にしたものがめだちました。地元の千葉を舞台にした作品ということでは、江戸時代のベストセラーで非常に大部な作品でもある南総里見八犬伝を正面から取り上げる研究もあり、情熱が感じられました。
近代文学の分野では、織田作之助の描く〈大阪女〉、川端康成『山の音』にみるひたむきな女性たち、谷崎潤一郎『細雪』の妙子、といったように、文学作品にみえる女性登場人物に注目する研究が多く見られました。
また、絵画を用いて安部公房の作品を分析するという刺激的な研究では、『棒』『赤い繭』『魔法のチョーク』をはじめ複数の作品をさまざまな絵画の影響から論じており、興味深いものがあります。
日本語学の分野では、青森県八戸市方言や、茨城県下妻市方言など、生まれ育った土地の方言を収集・分析するという研究が目をひきました。また、ディズニープリンセスのジェンダー表現や、ゲームキャラクターの音象徴など、身近な語を対象として分析をする研究も人気があります。

聖徳大学文学部の日本語日本文学コースでは、日本語学と日本文学をどちらも深く学ぶことができます。日本語学であれ日本文学であれ、何かを論じるためには1つ1つの用例を収集する作業が必要で、そこには地道な努力が求められます。
これまでの深い学びを生かして、4年生それぞれが、対象となる作品を深く読み込んだこと、あるいは真剣に言葉の調査分析を続けたことが伝わってくる充実した発表となりました。
会場で聞いていた3年生も大いに学びを深めることができたようです。
皆さん真剣なまなざしで、来年は自分たちがこのような発表をしなければならない、という思いが見えたのが印象的でした。



発表後には、3年生から4年生に、あるいは4年生同士で質問を送り合い、後日回答するという形でフィードバックが行われるのが毎年恒例となっています。ゼミを越えた質問が届くのも刺激的ですね。
卒論提出まであと2ヶ月ほど。
この中間発表で明らかになった課題を一つ一つこなし、充実した卒業論文が完成することを期待しています。

















