RE科目「恋の歌を読む―百人一首を中心に―」報告①
19.06.13
RE科目「恋の歌を読むー百人一首を中心にー」では、岩井秀樹先生、諸井彩子先生引率のもと、
世田谷区上野毛の五島美術館で行われている展覧会、「春の優品展―和と漢へのまなざし―」に行ってきました。
この日はお天気に恵まれ、気持ちの良い初夏の陽気となりました。
毎年恒例、GW期間のみ展示される国宝「源氏物語絵巻」をはじめ、
平安時代の歌人である藤原公任が編纂した『和漢朗詠集』を中心としたラインナップです。
五島美術館は、世田谷区の閑静な住宅街にある、こぢんまりとした美術館。
国宝「源氏物語絵巻」は、『源氏物語』ができてから150年ほど経った、平安末期に作られた絵巻です。
展覧会では、本物の絵巻の隣に、作られた当初の絵巻を現代の技術で復元した作品が並べられていました。
かつては鮮やかな色彩で描かれていたことがうかがえます。
『和漢朗詠集』は、平安期の貴族に愛好された漢詩文と和歌が選び集められたもので、
漢詩・和歌・管弦という三つの才能に秀でた藤原公任ならではのアンソロジーとなっています。
このほか、撰者の藤原公任に関連する古筆、日本や中国を題材とした絵画、硯箱や源氏物語図屏風なども展示されていました。
学生の皆さんは、メモをとりながら熱心に鑑賞していましたよ。
展示を見たあとは、副館長である名児耶先生から、展示作品についての解説をお聞きすることができました。
平安期の古筆は、『古今和歌集』を写したものが多いそうですが、
『和漢朗詠集』もかなり残っているそうで、それだけ愛好された証だということです。
「仮名で書かれているな、と思ったら『古今集』の可能性が高く、漢字と仮名ならば『和漢朗詠集』か『万葉集』だね」などともご教示いただき、とても貴重な機会となりました。
平安時代や鎌倉時代に書かれた仮名は、「変体仮名」といって、現在の私たちが使っているひらがなとは異なります。
ですから、美術館や博物館で展示された作品に、何と書いてあるか読み取るのは、慣れない人にはとても大変なことなのですが、
文学部文学科では、変体仮名を読む授業、あるいは変体仮名を書く授業も展開しています。
合わせて学ぶことで、学びをいっそう深めることができますよ。
次回の報告もお楽しみに。