短期大学部・総合文化学科 │ 聖徳大学

【コラム/文芸】蓑虫、いとあはれなり

20.10.22

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コロナ禍によって外出自粛が求められた期間、「巣ごもり」なる言葉を耳にし、その後の実態も似たような有様だった。テレワークが進み、秋に入っても出社せずに済んでいる企業も多いと聞く。

ところで、秋の巣ごもりといえば、専売は蓑虫だろう。そこで、周知のことであろうが、『枕草子』「虫は」の一節を要約して引いておく。

蓑虫は鬼が生んだから鬼に似る。親と同じく恐ろしい心を持つだろうというので、みすぼらしい衣服を着せて「秋風が吹く時分に迎えに来るから待っていろ」と言い残し、親は姿を消してしまう。仲秋に至り、秋風の音を聞き知った子が「ちちよ、ちちよ」とはかなげに親を慕って鳴く。

この話の出典は不明だが、かなり蓑虫の生態を反映しているようだ。ミノガの幼虫は孵化後、蓑をまとい始め、6月から10月にかけて脱皮を繰り返すと、秋に小枝などに蓑を結わえつけて越冬に入る。

「ちちよ、ちちよ」と子が慕う親は、無論オスである。メスはガにならないから巣の中に留まったままだ。また、いくら子が嘆いても、父がそれに応じて戻って来ることはない。なぜなら、退化した口では花の蜜などを吸うことはできないし、交尾後には死んでしまうからである。

これは、巣に残るメスとて似た運命でしかない。産んだ卵が孵化するころには、蓑の下部にある孔から落下して死ぬ。芋虫のような形状のまま、生殖機能以外の多くを削ぎ落したメスは、究極の進化形だともいう。

『宇津保物語』には、被(かず)け物をどっさり貰った蔵人が、ひどく酔ったこともあり、その品々を肩に掛けて「蓑虫のやうにてや、むくめき(=むくむくと)参らむ」と戯言をする場面がある。幼虫が蓑から半身を乗り出してもぞもぞと周囲の葉を食う様子を思わせる。これも蓑虫の生態を観察していなければ、こうは言えない。

こうなると、蓑虫は蓑を引きずりながらわずかに手の届く範囲を動き回ることしかできないように見えてこよう。だが、一生のうちに一度だけ、広い外界に飛び立つ機会が得られる。成虫となれるオスではない。幼虫のことだ。蛹の殻に産み付けられた卵から孵化した直後、幼虫は糸を出し、風の吹くに任せて飛ばされる。そして新しい棲みかを見出すのである。

秋に入ってGo toの風が本格的に吹き出した。コロナを怖がってばかりもいられない。鬱々とした巣ごもりから脱し、蓑虫のように風に任せてふらりと旅に出るのもそろそろ許されよう。

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