【コラム】笑い話の原点
20.05.14
菖蒲の花びらが網目を通して外に突き出ている。
これを見て、どうしてあんな狭い網目を大きな花びらが通ったのだろう、という発想が出て来たとしたら、それが笑話を生む原点となるに違いない。
道中、向こうから来る者を見ると、数珠を首にかけ、大きな檜笠をかぶって歩いて来た。間抜けな男がこれを見て、感動のあまり手を打って問う。「そなたがかぶっている笠は随分大きいが、どうやってその数珠を首にかけられたのかね。」「いやこれは、まず数珠を首にかけてから笠をかぶったのですよ。」とゆきずりの男が答えれば、「とにかく尋ねてみなければ分からないものだ。」〈安楽庵策伝『醒酔笑』22話〉
ある貴人、茶の湯に呼ばれて行き、茶室の庭園へ入ったところ、植え込みの竹の先を紙で何本も包んである。それをつくづく見て、「大したものだ。なんと珍しい」と感心する。相客が不審に思い、「一体どうしたのかね」と尋ねたところ、「いや、それがね。あれほど長い竹の先まで届く梯子(はしご)があったってことが不思議だ。」〈同25話〉
うつけ者を笑い飛ばすことができるのは、自分が笑う側にいるからだ。こちらにいさえすれば安心して笑っていられる。つまり、笑うということは、自分の立ち位置を示すことになってしまう。何を笑うかでその人が分かるともいわれるのはそのためだ。
いや、この際そんな屁理屈はどうでもよい。『醒酔笑』の2話は、このHP上にも掲載した「高校生・短大生のための古典入門」第13回から引いたものである。新型コロナウイルスの影響は思わぬ長期間に亙るようだ。家にいても退屈するばかりであろう。「高校生・大学生のための古典入門」はすでに197回に及んでいる。かなりの分量となっているから、暇つぶしにはちょうどよい。御用とお急ぎでない方は、ちらとでも眺めてくださると、筆者の一人として幸いこの上ない。
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