心理・福祉学部 社会福祉学科 │ 聖徳大学

深く大切な学び~人間栄養学科とのフィールドリンケージ授業~

23.07.08

聖徳大学では、異なる領域の専門職をめざす学生が学部・学科を超えて合同で授業を行う「フィールドリンケージ」を推進しています。社会に出れば、必ず多職種で協働する力を求められるためです。

社会福祉学科では現在、心理学科、人間栄養学科、児童学科、音楽学科、看護学科とのフィールドリンケージ授業、そして学科内でもフィールドリンケージ授業を実施しています。

今回は、人間栄養学科とのフィールドリンケージ授業(6月23日のブログでもご紹介しています)について、開催報告させていただきます。

人間栄養学科とのフィールドリンケージ授業は、臨床栄養学(人間栄養学科)と社会福祉援助技術演習Ⅱ(社会福祉学科)の授業の一部を合同で行うもので、管理栄養士及び社会福祉士の資格取得を目指す4年生を対象にしています。1つの模擬事例をそれぞれの学科で事前に丁寧にアセスメント(課題の評価)して支援プランを考案し、合同授業に臨みます。

今年度のフィールドリンケージ授業は、以下の日程で行われました。

5月9日(火)1・2限 合同授業 1219教室(1限)・1054教室(2限)

1限 人間栄養学科の教員から管理栄養士の専門性と仕事について講義

2限 社会福祉学科の教員から社会福祉士の専門性と仕事について講義

講義を聞いて、互いの専門性を理解します。

6月20日(火)1・2限 1057・1058教室

人間栄養学科32名と社会福祉学科27名の59名が人間栄養学科・社会福祉学科の混成グループ(6名×10班)で模擬事例を検討し、課題と支援プランを「中間シート」にまとめます。

7月4日(火)1・2限 1218・1219教室

6月20日と同じグループで、「最終シート」に課題と支援プランを記入して提出(1限)。2限に各グループの「最終シート」を映写して発表。両学科の学科長から講評、科目担当教員からもコメント。発表終了後にグループ別の振り返りを行い、振り返りの内容をアンケートフォームで提出します。

丁寧に準備を重ねてきただけあって、よく議論がはずみます。人間栄養学科の学生は食事内容や疾病の状況をデータから読み解き、社会福祉学科の学生は介護保険サービスの利用負担額を計算し、双方が専門性を生かして役割分担しながら最適なプランを探ります。

以下に学生による「授業の振り返り」の一部をご紹介します。

・意見を共有して話し合うことができた。お互いにわからないところや、意見について質問し合うことができた。

・一つの課題に対して多職種で連携することで得られる達成感は、同じ職種同士で検討するよりも多く得られることを学び、実際に経験することができてよかった。

・計画を立てる際、例えば配食サービスを利用するにしても、クライエントの現在の嚥下の状態から見て、ムース食よりはきざみ食の方が良いのではないかということや、食べるものはカロリーや栄養ではなく今は食べやすさを重視した方が良いなど、福祉のみの視点では気づかなかったことを栄養の視点から教えていただき、情報や意見を共有することでより具体的に必要な計画を立てることができると学ぶことができた。

・他職種と支援について考える際には、互いの専門性を把握した上で、どこを支援の中心の課題や目的として考えているのか理解していくことが重要であると感じた。また、今回の事例のように、予算が明確に決まっている場合には、互いにどう支援していくか、それをどのくらいの予算、期間、頻度で行うかなどをそれぞれの立場から話し合い、調整していくことの難しさを感じた。本人の主訴を中心に、各専門職同士が納得できるバランスを考えていくためには、何故その支援をその予算等で行うのか、言語化していく力が必要になることが分かった。

・目標を明確化し、同じ目標に向かって、それぞれの専門性を活かした計画を立てるのは難しいと思った。お互いに分からないところを教えてもらったり、相手に伝わりやすい説明をしたりと、他職種連携において工夫すべきことが分かった。

・それぞれ専門性がありその専門性に基づいて提案しているので色々な案が出てくるのでまとめるのが大変だった。また、方向性や主訴を見失わずにしていくのが大変だった。

・他職種では視点が違うため、計画を立てていく中で話がまとまらないことも多くあった。話の落とし所を考え、尊重していくことが大切である。また、本人の意向を1番大切にしなくてはいけないことを忘れてはいけないと思った。

・アウトプットが苦手なため文章化するのが大変だった。苦手をどう克服するかわかった気がする。

・他の班の発表を聞き、自分たちのプラン以外にもいろいろなプランがあり、その班ごとに考えや根拠が違うことがわかった。

・他の人の発表を聞き、同じ事例を考えているのに考え方が1つも被っているグループがなく、特色が出ていると思った。

これらの振り返りから、それぞれの学生が自らの専門性をよりどころとして、クライエントを主体として支援方針と支援内容をしっかりと話し合ったことがわかります。

社会福祉学科の学生は、夏に社会福祉援助技術現場実習も控えており、就職活動中でもあり、社会人・職業人への移行期でもあります。そのような時期に、こうした多職種連携を学ぶ授業ができる意義は大きいと思います。

フィールドリンケージ授業の成果についても、また別の機会にレポートします。

人間栄養学科の先生方、学生のみなさん、ありがとうございました。

社会福祉学科のみなさん、おつかれさまでした。

社会福祉援助技術演習Ⅱ 担当教員 横井葉子

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