かがやく卒業生(16):3年目にめぐりあった特別支援学級〜夢が広がる小学校教諭のこれから
21.03.30
こんにちは。
今日ご紹介したい卒業生は、2018年3月に音楽学部を卒業したMさんです。こちらに登場した別のMさんの同級生です。
小学校教員となった本日のMさん、3年目は特別支援学級の担当となりました。それは偶然のようでいて必然だったかもしれないというお話です。
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――こんにちは。
こんにちは。今日はよろしくお願いします!
〔Mさん登場〕
――教員3年目が終わるところですね。
はい。1年目は2年生、2年目は5年生の担任で、今年は特別支援学級を担当しました。特別支援学級は7クラスあって、私は1〜3年生5人のクラスです。
――そうなんですか! そういえば、あなたは特別支援をテーマに卒論を書いていましたよね。
はい。妹が特別支援学校に行っていましたし、ずっと関心がありました。来年、夏休みに講座をとって免許取得を目指そうかとも思っています。
――1年間、特別支援学級を担当していかがでしたか?
まず、コロナの影響で入学式をやってすぐ休校になってしまいましたので、子どもたちが不安定になっていたのはわかりました。休校が明けて取り戻すのがたいへんでしたね。保護者の方々もずっと家でお子さんを見ているので、そういった方のケアも必要でした。
――なるほど。
さらに、コロナの関係でいきなりの臨時休校も経験しました。突然のことで、夜中に保護者に連絡をしましたが、翌朝、知らなくて学校に来てしまう子もいました。
全校消毒を実施し、PCR検査をしたり、しばらく登校できなくなる子が出てきたりして、保護者の方からの電話対応に追われていました。電話へは、学校がマニュアルを作って対応しました。
――イレギュラーな仕事が多かったのですね。
そうですね…。子どもたちもかわいそうでした。行事がどんどんなくなって。運動会が全日から半日になり、この競技やめます、あの競技もやめます、とどんどん減ってしまって…。
子どもたちと保護者のケアのために、電話をしたくてもかかってくる電話が多くて空かないので、ご家庭を訪問したりもしました。
――それはそれは…。あなたの地域ですと、外国人のお子さんも多いのではないですか?
はい。フィリピンやブラジルの方が多いです。中には日本語がわからない方もいるので、情報の伝達には少し苦労します。
月に一回、教育委員会から通訳の方がいらして、電話やお便りの翻訳などをお願いしているのですが、連絡事項は毎日のようにありますので全てには追いつかないということはありますね。
――では、このへんで大学時代を振り返っていただきたいのですが、卒業から3年経って、大学のあの学びが役に立っているな、と思うことはありますか?
〔大学1年生の時。初めてのオープンキャンパスで高校生をウェルカム〕
はい! 特に音楽の専門科目ですね。日本音楽とか民族音楽などがためになっていると、すごく感じます。高学年の音楽を持たせていただいているのですが、自分がやったことがあるものは授業に応用しやすいです。先生からこんな風に教わったよ、と伝えることもできますし
――特別支援学級を担当するかたわら、音楽の授業も持っているということですか?
はい、去年、一昨年と、自分のクラス以外にも2クラスくらい音楽をやらせていただいていました。今は6年生1クラスの音楽を担当しています。
これは、日本や諸民族の音楽を扱ったときのプレゼン資料です。ただ見るだけではつまらないので、クイズのようにして紹介しました。今の子どもたちって、なぜか知らない音楽を嫌うんですよ。ですから、髙松先生のご指導が本当にためになりました。
――そうですか、嬉しいですね。
〔日本音楽や民族音楽のプレゼン資料〕
2年生はケチャをやってすごく盛り上がったので、小さい頃から教えておくとまた違うと思いますね。
それからこれは、自分用の簡易的な指導案です。実は私は、中学校に採用されると勝手に思っていたので、小学校と聞いたときに準備ができていなくて、毎日このようなノートを作っていました。板書の案とかワークシートの予想される回答とか。自分で想定していかないと、子どもたちに質問されたときに答えられないので。
〔簡易版指導案を作成して全教科に対応〕
――あなたは入学当初から教員志望で、途中ぶれることなく一直線でしたね。気持ちが長続きした秘訣は?
教員は、小学生の頃からずっと就きたかった仕事です。両親も教員で、忙しいけれど充実した日々を送っているのを間近で見ていました。両親や同じ目標を持つ友達に支えられて、頑張ることができました。
〔教員を目指す仲間たちと。もう一人のMさんの姿も〕
〔聖徳祭で〕
――Mさんは朝イチでカフェでアルバイトして、午前中は小学校でボランティアやって、それから大学で授業を受けて、という生活でしたよね、3年生の1年間は。在学中にそういう経験ができるのは良いね。
はい。学校にはいろいろな子どもや先生がいることを学べましたね。現場に入ってギャップを感じることなく、よかったと思います。
――教員を目指す人に伝えたいことはありますか?
そうですね、自分には関係ないなと思うことにも挑戦して欲しいです。歌の友だちの伴奏なども、余計な仕事と思わないで。本番はこんなふうに緊張する、とか、ホールでは違う風に聞こえる、とかわかりますし。アルバイトも、学校とは関係のないところでやってみると良いですよ。
〔大学時代、左:二重唱に挑戦、右:合唱を指揮〕
〔卒業式で担任の郡司正樹先生を囲んで〕
――教員という仕事のよさはどんなところですか?
なんといっても、お金で買えないものが自分に返ってくることです。実は昨日卒業式だったのですが、あの子たちがこんなに成長したのか、と実感できました。「先生のこういう言葉で救われました」とか、「音楽が好きになりました」とか言われると、人の役に立てて嬉しいと思いますね。たいへんな中に大きなやりがいが見出せれば、ずっと続けていきたいと思える仕事でしょう。
――昨日の卒業式では歌えましたか?
はい。校歌と歌を1曲、(松井先生編曲の)「旅立ちの日に」を歌いました。6年生の音楽は1クラスしか持っていないのですが、去年担当した学年ということで、指導もだいぶさせていただきました。当日は、自分のクラスの子のそばについていました。
――新しい年度にはどうなっているでしょうね。
そうですね。これから先、異動もあると思いますが、いろいろやりたいことがあって。中学校に行くかもしれませんし、特別支援にも興味がありますし。小学校も、基礎から教えられるからすごく楽しいんです。
――あなたのように複数免許を持っていて興味の対象も広いと、選択肢が増えますね。楽しみです。今日はありがとうございました。
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このあと、3つ下の学年で在学時に一緒に活動していた現4年生が、それぞれに就職先を見つけたことを報告すると、とても喜んでいたMさん。これからも後輩たちのよきお手本として、頑張ってくださいね。
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