【コラム】ヌナカワヒメは翡翠(ヒスイ)と瑠璃(ラピスラズリ)の女神――越は青の国
26.04.29
新潟県糸魚川市の姫川支流の岩石中から、ラピスラズリが発見されたというニュースが令和8年2月27日に報じられ、驚きました。これまで、ラピスラズリはアフガニスタンでのみ産出すると聞いていたので、日本でもラピスラズリが採れたとなると、これは大ニュースです。
糸魚川と言えば翡翠(ヒスイ)が採れることで有名です。『万葉集』に登場する「沼名川の底なる玉」の玉は翡翠(ヒスイ)だと言われています。
沼名川の 底なる玉 求めて 得し玉かも 拾ひて 得し玉かも
あたらしき 君が 老ゆらく惜しも(巻13・3247)
沼名川は、「本来、玉を産出する川の意」(新編日本古典文学全集『万葉集』➂401ページ頭注参照)です。出雲のオオクニヌシが高志(越)の国のヌナカワヒメ(沼河比売)に求婚した神話(『古事記』)や、『延喜式』に越後国頸城郡「奴奈川神社」を載せることから、沼名川は糸魚川市の姫川に比定されています。この姫川の支流である小滝川こそが、翡翠(ヒスイ)の産出地なのです。
ヌナカワヒメは、翡翠(ヒスイ)の女神だとされます。スセリビメという正妻がいながら、オオクニヌシがヌナカワヒメに求婚するのは、いわゆる「クズ男」だからではありません。所有すると永遠の生命が得られるという翡翠(ヒスイ)を司る女神だったので、オオクニヌシはヌナカワヒメを妻の一人にして、翡翠を入手したかったのでしょう。


さて、ラピスラズリが採れるということで、「沼名川の底なる玉」は翡翠(ヒスイ)だけでなく、ラピスラズリという可能性も出てきました。
ラピスラズリは漢字では「瑠璃」と書きます。「瑠璃」は青いガラスを指すこともありますが、アフガニスタン産の「瑠璃」はラピスラズリを指します。例えば、『うつほ物語』吹上・下巻に登場する「よろづの楽器ども、金銀・瑠璃を磨き整へて」の瑠璃はラピスラズリだと考えられます。楽器に金銀やラピスラズリなどの玉を施したゴージャスな楽器です。現実に存在したら国宝級でしょう。現存する正倉院・中倉の「紺玉帯 残欠」の「紺玉」はアフガニスタン産ラピスラズリで飾った革帯です。

翡翠(ヒスイ)も瑠璃(ラピスラズリ)も日本では糸魚川の姫川の流域でしか産出しないとなると、新潟県糸魚川市――昔の越の国は、日本海の青のような「青の国」であり、アフガニスタンと同じように宝玉を産出する豊穣の国であったと言えるでしょう。
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