短期大学部・総合文化学科 │ 聖徳大学

【コラム/旅】百済観音に逢う

20.12.28


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百済観音に逢う

私は若い頃から佛像を拝観する事が好きでした。部屋には、佛像の写真を額に入れ、飾ってあります。東京生まれの私ですが京都が大好きで、高校時代から京都や奈良の寺院には度々足を運び、夏休みには大文字焼きを必ず見に行っていました。

最近はすっかり御無沙汰ですが、昨年京都に行く機会があり、友人と京都駅で待合せ、京都見物をしましたが、人の多さに唯々驚き再びは訪れたくない…と思ったものです。

それは昔、朝早く宿を出て、誰もいないお寺の佛像やお庭を眺めます。今でもはっきりとその時の情景が目に浮かぶのは、龍安寺の寂寥とした佇まいの石庭や、西芳寺の露に濡れたみずみずしい苔のみどりの庭を歩いた事です。観光バスが着かないうちに一人で眺めるお庭は何にも例えられません。数えきれない程のお寺を拝観し感動の日を過ごしましたが、洛北の詩仙堂や曼殊院も忘れられない存在です。
奈良の法隆寺や中宮寺にも心ひかれるままに毎年のように行きました。
法隆寺は、斑鳩の里にひっそりと佇んでいる日本最古の木造建築で、現在の奈良県生駒群斑鳩町にあります。静謐な空間には国宝や重要文化財が多く、中でも国宝を含む650体もの佛像彫刻があり、静かな伽藍で、聖徳太子の教えを守る信仰の流れが今も続けられているのです。
金堂に安置されている釈迦三尊像、大講堂の薬師如来坐像、夢殿の救世観音立像はあまりにも有名ですが、私が法隆寺を訪れていた第一の理由は、すらりと立つ百済観音に逢うためでした。樟の一木から彫られている立像は209.4㎝の長身で、細身なのに丸みがあり、側面から見ても美しいのです。細いお顔もふっくらとしていて、口元もやさしい微笑みを浮かべ、何とも魅力的で、毎年逢いに行ったのです。

現在、何処にどのように立たれているのか分かりませんが、奈良に出掛ける機会がありましたら、是非法隆寺に足を運び、百済観音立像に逢う事をおすすめします。

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