最先端のインクルーシブ教育を学ぶ「東京大学 先端科学技術研究センター訪問」
22.09.05
みなさん、こんにちは!今回は、特別支援教育コース4年生の必修授業「インクルーシブ教育論」の1コマをお届けします。
春学期に、学外授業として東京大学先端科学技術研究センターを訪問し、インクルーシブ教育の最先端の取組みを学んできました。
この日は東大駒場地区リサーチキャンパスの日でありました。会場前から多くの人が並び受付を待っていました。
コロナ禍でもあり、検温や手指の消毒などの丁寧な受付のあと、エネオスホールにて、中邑賢龍研究室における個別最適な学び寄付研究部門の「東京大学で知的障害のある人は学べるのか」というセミナーに参加しました。
このセミナーでは、知的障害で就労されている方からのメッセージを聞いたのち、「Learn」というプロジェクトでの実験的な実践の報告、また、知的障害のある方々と大学生を比較した調査結果の報告などがありました。
「知的障害と聞くと勉強ができない人と想像することが多いが、彼らの中にも学ぶ意欲や自分の思いを伝えたいという気持ちがあり、特定の領域では、優れた能力を発揮している人もいる。」という研究データも示されました。知的障害のある方の本当の困り感は、どんなことなのか。障害の有無にかかわらず、共に学びあう機会とはどのようなものなのかを、実践報告で見せていただきました。
次に、近藤武夫研究室のセミナーから、「学び方や働き方をインクルーシブに変える実践型の研究プロジェクト」の見学をしました。
この部屋には6つの具体的なプロジェクトがありました。
DO-IT Japanは、障害や病気の若者の高等教育への支援の活動です。ICTを活用したさまざまな支援機器があり、障害の重い方でも使用できるマウスやスイッチ、雑音だけを除外できるノイズキャンセラヘッドホンなどの試着も試みました。
Access Readingは、読み困難な児童生徒への支援についての取組みです。特に検定教科書について、点字教科書、拡大教科書はもちろん、パソコンや携帯電話の読み上げ機能を利用した音声教科書などの活用法についての説明がありました。
IDEAは、雇用機会から排除されてきた多様な人々を包括できる雇用システムを地域社会に実装するプログラム開発です。働き方を根本から考え、障害のある人もない人も、ともに働きやすくなる仕組みを実践研究しています。
PHEDは、障害のある学生への高等教育支援のプラットホームです。各大学では対応しきれない、多様な障害に対しての組織的アプローチを研究・実践されています。
AEMCは、障害のある人々が使いやすい教科書を作成するボランティア団体の取組みです。
それぞれのプロジェクトが具体的な実践を通して進められているところが素晴らしいと思いました。
大学の建物を出ると、このプロジェクトが連携している地域から、さまざまな特産品を紹介・販売する出店が軒をつらねていました。それぞれの地域の「ゆるキャラ」さんたちも来ていて、楽しくおみやげを買ったり記念写真を撮ったりできました。昼頃からは、高校生や親子連れも大勢来ていて、自由でにぎやかな雰囲気を感じながら、大学を後にしました。
文責:太田裕子