児童学部児童学科

子どもと心理②:絵本から見る子どもの心の発達

20.07.03

皆さん、こんにちは!
児童心理コースの講師 齋藤有です。
私の専門は発達心理学です。
現在は、絵本を用いたやりとりを通じて、親子それぞれがどのように発達していくのかに注目して研究を行っています。
現在はふたりの息子の育児に奮闘中!
理論と実践のつながりを学ぶ日々です。
今日は皆さんに、息子(3歳半)とのある絵本のエピソードから、子どもの心の発達をご紹介してみたいと思います。

 

「ねえ、まだねてるの!」(さとうわきこ作、ポプラ社)

実は私が子どもの頃に買ってもらって読んでいた絵本。30年近く前なので年季が入っています。
ある夜やってきた嵐で、飛ばされたものを拾いにいったり、家の修繕をしたり、頑張るイヌくん。ようやく眠れたのはもはや夜明け頃。。。そして「あーあ、よくねた」と目覚めたネコくん。ここでタイトルの一言。
「イヌくんの頑張りも知らず、ネコくんそりゃないよ~」とつっこみたくなる場面ですが、息子はにこにこ。「イヌ、眠たそうな顔してる~」

嵐ですったもんだするいぬくんの様子は面白いようで、何度もせがまれて読んでいるのですが、どうやら、3歳半の息子に、この「オチ」が理解できないようなのです。
それもそのはず、この時期は、人の行動を、その背後にある「心」に注目して、説明したり、予測したりすることがまだ難しいのです。発達心理学の領域では「心の理論」の獲得として研究され、だいたい4歳半から5歳くらいにかけて、できるようになることが分かっています。
まだ「心の理論」を獲得する前の息子は、ねこくんの「ねえ、まだねてるの!」というセリフの背後にある「いぬくん も自分と同じように、夜よく寝ているのになぁ」という間違った思い込みに気づかないために、そのセリフの理不尽さ(ゆえの面白さ) が感じられないのですね!

息子と一緒にイヌくんの労をねぎらえる日がくるまでにはもう1年ほどかかるでしょうか。こんなふうに、子どもの心の発達を知ることができるのも、子どもと絵本を読む楽しみの1つです。
ちなみに、この絵本は、通っていた歯医者さんにあり、私が気に入って何度も借りてきたので、父親が私の4歳の誕生日プレゼントとして買ってくれたのだそうです。当時の私はどんなふうにこの絵本を読んでいたのでしょうか。まったく覚えていませんが、こうして子どもと再び絵本を開くことで、自分自身の子ども時代を振り返ることができるのも、絵本の魅力ですね。

 

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