短期大学部・総合文化学科 │ 聖徳大学

【コラム】“毛”のおはなし

22.02.24


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 衣料品に使用される繊維素材は天然繊維と化学繊維とがあり、天然繊維は主に植物繊維と動物繊維に分けられます。動物繊維で家庭用品品質表示法の指定用語で定められているものは“毛”“絹”になります。以前はこれだけだったのですが、現在では“毛”の分類表示も認められています。認められている“毛”は、羊毛 アンゴラ カシミヤ モヘヤ キャメル アルパカの6種類で、その他の動物は“毛”となります。羊毛は字のとおり「ひつじ」、アンゴラは「うさぎ」、カシミヤとモヘヤは「やぎ」、キャメルとアルパカは「らくだ」の種類になります。テレビのコマーシャルでおなじみの、近頃モスクワの地下鉄に乗ったというニュースになったアルパカは「らくだ」の仲間です。

 モヘヤはアンゴラ山羊の毛で、アンゴラ兎と区別するためモヘヤという呼称になっています。アンゴラは地名に由来するのですが、アンゴラをインターネット検索しますと、アフリカの「アンゴラ共和国」が出てきます。この国は1975年に独立した国家なので、アンゴラやモヘヤはもっと昔から存在していたことを考えると、アフリカのアンゴラではないことがわかります。アンゴラはトルコの首都アンカラのことで、ローマ帝国時代ではアンゴラと呼ばれていたことに由来するそうです。もともとはヨーロッパとアジアの境目にくらいに生息する動物なのです。
 また、獣毛繊維のカシミヤの最大の特徴といえば、とても滑らかで心地良い肌触りですが、その毛のカシミヤ山羊はインドの北部の高山地帯であるカシミール地方が名前の由来となっています。現在は主に中国の北西部やネパールのヒマラヤ地域、モンゴル、イランなどが産地になっており、寒暖の厳しい環境下で生きている動物です。

 その他の動物の毛にはどのようなものがあるかといいますと、ヤク(うし)、ビキューナ(らくだ)、カシゴラ(やぎ)、ラクーン(たぬき)などがあり、指定外繊維として表記されます。ヤクの毛は牛なのにカシミヤ山羊の毛に似ています。ビキューナは希少なのでとても高価な製品になります。カシゴラは名前からカシミヤ山羊とアンゴラ山羊の掛け合わせです。ラクーンはたぬきなのですが、アライグマの毛もラクーンと呼ばれることがあり、国際的にはラクーンはアライグマのことを指すようで、たぬきの毛は使われることが少ないといわれています。以上“毛”のおはなしでした。

出典:竹中直 思いつきラボ(ニッセンケン品質評価センター 2015年5月)
https://news.goo.ne.jp/article/fnn/world/europe/fnn-311676.html

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