短期大学部・総合文化学科 │ 聖徳大学

文と箇条書きとダイアグラム

21.07.22

みなさんは、口頭発表の際に、スライド資料を作りますか?
もし設備があるなら、プロジェクタを使う方が伝えやすいですよね。

ではスライドはどんな風に作りますか?

ある教科書では、「よいプレゼンテーションのしかた」としてスライド作成のための5つのポイントを上げています。

1. 白地に黒?黒字に白?
2. フォントはゴシック系
3. スライドを読ませない
4. アニメーションに頼らない
5. 「ご清聴」は不要

3番目のポイント、これはどういう意味でしょう。

慣れていない人は,しゃべる内容をスライドに書き込んで,それを読み上げるようなプレゼンテーションをしがちですが,聴衆は声を聞くより先に黙読し,退屈してしまいます。スライドに書き込むのは,文章より箇条書き,箇条書きより図にしましょう。聴衆にスライドを読ませるのではなく,スライドの図を見てもらいながら,あなたの話を聴いてもらいましょう。スライドに箇条書きを書いた場合は,それを読み上げるのではなく,別の言葉で説明しましょう。

文章と箇条書きと図は何がどう違うのでしょう。

この3つでは、表現できる「構造」が違うのです。

– 文では、時系列のような1次元の構造が表現可能
– 箇条書きでは、枝分れを含む2次元の樹状構造が表現可能
– 図(ダイアグラム)では、依存関係などのように単純な樹状構造にならない構造も表現可能

時系列

> そしてその戦いの激しさと速さを伝えるために、ローマの友人のひとりであるマティウスにあてて「veni(来た)vidi(見た)vici(勝った)」という3語を記した。

「来た、見た、勝った」は時系列で、箇条書きにする必要もありませんね(まぁ、そもそも簡潔な表現ですからね)。でも図にすると

veni-vidi-vici

もっと直感的にわかる気がします。

木構造

会社の職位系なんかはそう入れ子の箇条書きで表現できますね。

・社長: 山田
  ・営業部長: 田中
    ・販売課長: 長谷川
    ・広報課長: 小川
  ・生産部長: 中村
    ・調達課長: 片桐
    ・生産課長: 山本
    ・品質管理課長: 本田

これも図にしてみましょう

hierarchy

どうでしょう。

依存グラフ構造
実力が拮抗している6人の勝敗関係はどうなるでしょう

– Aさんは、BさんとCさんに勝ち、
– Bさんは、CさんとEさんに勝ち
– Cさんは、Dさんに勝ち、
– Dさんは、Bさんに勝ち、
– Eさんは、Fさんに勝ち、
– Fさんは、AさんとCさんに勝つ

箇条書きにしてみても、いまひとつ、全体がつかめない感じがしますね。
これはやっぱり、図にしてみましょう。

dependencies

今度はどうでしょう。図(ダイアグラム)を使う方が把握しやすいですね。

もちろん、こういうダイアグラムを書くのは、プログラムでやるんですよ。最初の図くらいはPowerPointでもそう苦労せずに描けますが、ちょっ複雑になると面倒です。最後の勝敗関係を描くのにつかったデータ(`deps.dot`)は以下のとおり、


digraph deps {
  A -> B;
  A -> C;
  B -> C;
  B -> E;
  C -> D;
  D -> B;
  E -> F;
  F -> A;
  F -> C;
}

GraphViz というアプリがあって、`dot`というコマンドを使って

dot -Kcirco -Tsvg deps.dot -odeps.svg

とすれば、自動的に配置して、画像ファイルを作成してくれます。

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