心理・福祉学部 社会福祉学科 │ 聖徳大学

私の研究を紹介します(第2弾)

24.02.19

ごきげんよう、社会福祉学科教員の須田です。

 今回のトピックは私の研究についてご紹介第2弾です。私は今、高齢者虐待への介入、対応について研究しています。特に家庭での高齢者虐待を発見した場合、どうやって介入するのか、どのような対応をすれば良いのか、そもそもどうやったら高齢者虐待を防げるのかを日々、考えています。

日本の高齢者虐待通報相談件数の増加は警察からの通報によるものが大きいと考えられています。

私が高齢者虐待防止ネットワークの副会長として関わっている松戸市において、COVID-19パンデミック前の2019年度では高齢者虐待通報相談事例数185件、有効分析事例数171件、うち警察通報件数73件(42.7%)です。加害者は被害者と同居しており、加害者が子である事例は35件(47.9%)、次に多いのは配偶者31件(42.5%)、その他7件(9.6%)となっています。

警察通報件数のうち、60件(82.2%)が日本の高齢者虐待防止法では「高齢者虐待ではない」と判断されています。ちなみに「虐待あり」と判断した件数は13件(17.8%)です。

ここからわかることは警察からの通報数増加は必ずしも高齢者虐待が増加していることを意味しておらず、高齢者虐待防止法の適用範囲の狭さを表しています。

ブログの第1弾でも書きましたが、日本の高齢者虐待防止法では同居していても養護関係にないと高齢者虐待とされません。「高齢者虐待ではない」とされた事例のうち、「状況的暴力」とされる事例が多くを占めています。しかしながら暴力行為は行われており入院に至った事例もあります。 警察が介入対応するような事例であることを考えると、権利が侵害されている被害者(高齢者)を守るためにはWHOの規定に基づく同居者による虐待を「高齢者虐待」とすべきと考えています。

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