音楽学部 │ 聖徳大学

聴いてみよう、この1曲~音楽史の授業で味わうルネサンスの響き~

20.06.06

皆さん、こんにちは。音楽学科教員の山本まり子です。
音楽学科には、1年生の秋学期に「西洋音楽史」(必修)、また2年生以上の科目に「声楽史」(選択)があり、私はそれらを担当しています。

このブログでは、ちょうど今週の「声楽史」で扱った作品をご紹介しようと思います。

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さて、小・中学校時代の音楽室の情景を思い出してください。多くの音楽室に、作曲家の肖像画が並んでいたと思います。では、誰から始まっていましたか? ――そう、たいていは教科書に《四季》の〈春〉が載っている、バロック時代の作曲家ヴィヴァルディ(1678-1741)。さらにお隣りにはJ.S.バッハ(1685-1750)…という流れだったのではないでしょうか。

*一度、4年生の教育実習先の中学校に伺ったとき、パレストリーナ(1525頃-1594)から始まっていてびっくりしたことがあります。

バロック時代の始まった1600年より前の音楽史については、義務教育であまり取り上げられないせいか、ほとんど知らないという方も多いのではないかと思います。音楽学部の多くの学生たちも同様です。

大学での「西洋音楽史」や「声楽史」の学びでは、古代に始まり現代に至るまでの、長くそして深い音楽の歴史を扱い、様式的特徴とその変遷を理解します。

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オンライン授業による「声楽史」で今週扱ったのは、15~16世紀、ルネサンスの声楽曲でした。複数の声部が対等の関係で音楽を形づくっていきます。

そのひとつが、イギリスの作曲家トマス・タリス(1505頃~1585)による《我、汝の他に望みなし》(Spem in alium=スペム・イン・アリウム)通称「40声のモテット」として知られています。

<授業のスライドの一部>

「40声部」という巨大な編成は、5声部の8群で構成されています。
楽器を伴わず声だけで、ひとつの旋律から紡ぎ出されていく天上の音楽の織物は、次第に絡み合いながら、各群が様々な順序で応答しあいます。

さあ、この10分弱の作品が生み出す音響効果の広がりを、動画でぜひ味わってみてください。


南西ドイツ放送 公式YouTubeチャンネルより
*合唱:ゲヒンガー・カントライ、指揮:ハンス・クリストフ・ラーデマン

いかがでしょうか? 40人というと、学校の一クラス分くらいの人数ですね。一人ひとり別々の動きをしているのに揺るがない、震えるほど見事なアンサンブル!

こうした響きを経験すると、音楽の感じ方が変わってくるかもしれません。日本でも、時折演奏されることがあるようですよ。

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