かがやく卒業生(10)~大学時代の「ちゃんと…」の積み上げを現在の演奏活動につなげて~
19.08.21
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不定期更新中の「かがやく卒業生」。今回は声楽家の友光曜子(ともみつ ようこ)さんにお話を伺いました。友光さんは先日フランス留学から帰国されたばかりです。
――こんにちは。音楽学部と大学院音楽文化研究科を終えてしばらく経ちました。最近留学されていらっしゃいましたよね。
はい。フランスのパリにあるスコラ・カントルム音楽院に、今年の7月まで1年間留学しました。
――ほう、パリですか。なぜパリを選んだのですか?
4年前、フランスのティーニュで毎年開催されているミュージック・アルプという音楽アカデミーに参加しました。その時出会ったのが、フランスのパリの音楽学校で教えてらっしゃるペギー・ブーヴレ(Peggy Bouveret)先生です。
大学と大学院を卒業後、段々演奏家としてのお仕事をいただけるようになってきたものの、自分の声楽的なテクニックの限界を感じていました。そんな中、4年前のティーニュでのレッスンの徹底的なテクニックのレッスンと、それによって得られた成果が忘れられず…。
もともとフランス歌曲が一番好きであった事もあり、ペギー先生に師事するためにパリ留学を決意し、様々な状況がそれを許してくれました
――そうそう、昨年は音楽学部3年生が海外研修でパリに滞在していた時に、会いに来てくださったのですよね。ブログの海外研修レポートの中に、友光さんも登場されています!
そうです! 大学院修了後は大学の声楽研究室の助手として勤務していたので、学部生とも交流がありました。皆に会えなくなって寂しかったので会いに行ってしまいました(笑)。お世話になった先生、事務の方にもお会いでき、まだパリにあまり友達の居なかった寂しさを癒せました…。
*2018年9月、パリで研修中の音楽学部3年生(当時)と一緒に
一番驚いたのは、私の海外研修の時とガイドさんが同じ方だったことです!
とても印象的な研修だったので、改めてお礼を言えて嬉しかったです。
――あら、そうだったのですか! ところで、フランスではコンクールにもチャレンジされたとか。いかがでしたか?
はい、パリの郊外で行われたクレ・ドール国際コンクールにエントリーし、3位に入賞しました♪
――それは素晴らしい。おめでとうございます!
ありがとうございます。
ですが、歌うまでが大変でした。日程が突然変更になったり、そのために公式ピアニストとの合わせのアポを自分でとらなければならなくなったり、当日は何時に始まるのか分からなかったり、出番直前にピアニストが私の楽譜をなくしたり…。
ただこれらはフランスでは起こりがちな事なのです。私も帰国直前でフランスに慣れてきていたのでストレスには感じず、ずっと「いい話のネタになったなぁ」と思っていました。
*クレ・ドール国際コンクール3位入賞の表彰状を手にする友光さん
――音楽学部での学びで印象に残っていることは?
とにかく「ちゃんとやる」という事です。ちゃんと楽譜を製本する、ちゃんと期日通りに提出する、ちゃんとスケジュール管理をする、ちゃんと譜読みをする、ちゃんと覚える、その他色々…。
全て当たり前の事ですが、その沢山の当たり前をちゃんとする、という事が「仕事として歌を歌う」という事の最も大事な事だと痛感しております。それを学生生活の中で色んな先生方、事務の方々に教えていただいた事が大きな財産になっています。
――確かにそれは大切です。卒業後の成長にも結びついていますか?
ええ、そのおかげで現場で信頼していただけたり、次の仕事につながっていると実感しています。
初めての現場でのお仕事をいただけるのはもちろん有り難いことですが、「次もお願いします」と言っていただける事が何よりも大事で嬉しい事だと思っております。
*フランスでの演奏会を前に練習
そしてパリでも先生から「一年間でこんなに成長した生徒は見たことがない」と言っていただけたのも、冷静にひとつひとつをちゃんと積み上げるという聖徳大学での経験があったからだと思っています。
――帰国された現在の活動の内容について教えてくださいますか?
現在は演奏家として活動しつつ、クラシック専門のラジオ局 OTTAVA(オッターヴァ)でラジオディレクターの修行中です。
演奏家としては、ソリストとしてオペラやミュージカルなどのレパートリーを演奏し、合唱団の助演(エキストラ)としての活動もしております。
ラジオ局では大学でのPAの経験を活かしつつ、留学での経験を買ってくださり、ディレクター修行をさせていただける事になりました。どちらも形は違えど音楽に携わっていられることはとても嬉しいです。
――最後に、このブログを見てくださっている方々、音楽の道を目指そうと思っている高校生の方々に、メッセージをお願いします。
「なぜ大変な思いをしてまで演奏するのか」「音楽を続ける意味はあるのか」――
そういった疑問を抱くことが私自身何度もあります。きっと皆さんもあると思います。そんな時に思い出すのは、音楽があったおかげで出来た大好きな友人たち、恩師たちの顔です。
音楽は真剣に向き合えば必ず何かを与えてくれます。ひとつひとつ、小さな事ををちゃんと積み重ねれば自分を成長させてくれてます。大きな奇跡は起こせなくても、誰しもが自分だけの音楽を奏でられます。
私自身が音楽に救われてきたように、どうか皆さんにとっても音楽が人生を彩る身近なものであってほしいです。
――友光さん、素敵なメッセージをありがとうございました。益々のご活躍をお祈りします。
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