【コラム】括弧のはなし(その5)
18.09.28
左右の区別の括弧の欠点
「半角ダブルクォート」だけで引用を表現しようとするとき,引用中で引用を表現することはできません.
どういうことでしょうか.たとえば,
ソクラテスは「クレタ人が「クレタ人は嘘つきだ」と言った」という表明について考察した.
という2重の入れ子になった引用を
ソクラテスは”クレタ人が”クレタ人は嘘つきだ”と言った”という表明について考察した.
のように書いてしまうと,
ソクラテスは「クレタ人が」クレタ人は嘘つきだ「と言った」という表明について考察した.
というおかしな引用と同じになってしまいます.左右の区別のない括弧は文法がやさしいかわりに表現力を失なってしまったのでした.また,文法としても,括りの始まりなのか,終わりなのかが記号だけを見てもわからず,前の範囲をみんな見なければ判断できません.
3種類の括弧体系
これまで,お話した括弧の体系を文法の複雑さ順に整理してみましょう.
– 単種類括弧(左右の区別なし)の体系
– 単種類括弧(左右の区別あり)の体系
– 多種類括弧(左右の区別あり)の体系
ですね.表現力はどうでしょうか.逆順になっているように見えます.本当でしょうか?
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