心理・福祉学部 社会福祉学科 │ 聖徳大学

学科長コラム⑪:小さな島の活版印刷

24.06.03

みなさん、こんにちは。
学科長の山田でございます。

梅雨の季節に入りました。

雨にぬれた紫陽花の花がことのほか美しい季節です。
今回のテーマは「活版印刷」です。



みなさんは活版印刷をご存じでしょうか。
私たちは誰もがPCやスマホで作成した文章を簡単に印刷できるデジタル時代にいるわけですが、活版印刷は写本や手書きの時代から、はじめて大量印刷を可能にし、近代化に大きな役割を果たした印刷技術です。日本では活版印刷の前に木版印刷技術があります。世界的に有名な浮世絵芸術は木版印刷技術を背景に発展したものです。



現在、科研費採択研究で長崎県の小値賀島に通っています。

人口2100人の小値賀町。その島に「活版印刷」を営んでいる「晋弘舎」があります。

経営者は産休を明けてママになって間もない四代目の横山桃子さん。



写真は2010年に訪問した時のもので、先代の桃子さんのお父様です。

訪問してまず驚かされるのが活字の数々。数えきれないほどの文字が壁に並んでいます。この中から必要な活字を拾い、必要な活字を集めたら、組んで「版」を作っていきます。活字で文章を組み創り上げていく作業です。何万字とある活版文字から一つひとつもくもくと組みあげます。活字を拾って、版を組んで、印刷して、職人技の域が必要です。


効率化や便利さ優先の時代の中で、活版印刷は手間暇がかかります。手を動かして、頭を使って、身体も動かして、版組みに集中、没頭する時間も必要。出来上がったものには手間暇かけた温かみが感じられます。そこには効率性、便利性優先ではなく、時間はかかるけれども、ものを生み出す過程・時間を大事にする、その時間を愛おしむゆったりした時間の流れがあります。

現在、小値賀観光で「活版印刷体験」が注目を浴びています。
皆さんも一度体験されてはいかがでしょうか。


おちがへ、こんね!(小値賀へいらっしゃい)


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