心理・福祉学部 社会福祉学科 │ 聖徳大学

ディスカッションで学ぶ学校保健~「健康観察」編~

23.07.04

養護教諭を目指し入学した学生が初めて学ぶ専門科目の一つが「学校保健Ⅰ」です。学校保健は法的な根拠に基づいて実施されていますので、学校現場での実践と法律との関連を理解する必要があります。子ども時代にみてきた養護教諭の様子から、相談対応や救急処置について学ぶであろうと予測していた学生にとって、真っ先に学ぶことが法律であることに難しさを感じたり、養護教諭の職務の多様さから、自分には無理ではないかと志向性が揺らいだりする場合もあります。

養護教諭免許状取得のために必要な科目「学校保健Ⅰ」では、学校において子ども及び教職員の健康の保持増進の基盤となる保健管理と保健教育を実施していくために必要な知識と技術を学びます。

そこで本科目では、これまで子どもの立場で参加してきた学校保健活動を養護教諭の立場で捉え直すことができるように、実際の場面を想定した事例をグループで検討し、学校保健における養護教諭の役割を具体的にイメージして理解できるようにしています。学びを深めることで、養護教諭のやりがいを実感し、養護教諭としてあるべき姿を描き、志向性と学修への意欲を高めることができればと考えています😊

第8回目の授業では「健康観察」を取り上げました。「健康観察」というと学級担任が一人ひとり呼名をして、子どもが「はい、元気です」と答える「朝の健康観察」を思い浮かべる学生がほとんどです。しかし学校における「健康観察」は1日の教育活動全体を通して実施されるものです。「健康観察」の目的は大きく3点。『子どもの心身の健康問題の早期発見・早期対応を図る』『感染症や食中毒などの集団発生状況を把握し、感染の拡大防止と予防を図る』『継続的な実施で子どもの自己管理能力の育成を図る』ことです。子どもが教育活動を継続できる状況にあるかを観察することが目的ですので、観察の視点を身に付けることが重要です。子どもは自分から体調を正確に伝え、また集団の中で訴えることは難しく、さらに発達段階や特性の違い、家庭的な背景も考慮しながら、サインを読み解いてく力が必要です。また教育活動の一環として実施されることの意義を理解して、適切な方法で実施する必要もあります。

「健康観察」の目的と方法を理解した上で、次の事例に取り組みました。

【朝食を欠食する子どもが多いことから、朝の健康観察の際に、朝食の有無を聞くことが職員会議で提案されました。実施した場合の問題にはどのようなことが考えられますか?】

グループから出た意見『本当のことを言えない子どもがいて正確な情報を把握できない』『家庭的な問題を抱える子どもが健康観察を負担に思う』『朝食を食べていないことを聞いた他の子どもが自宅に帰ってから家族に話し、プライバシーの侵害になる可能性がある』『朝食の欠食がいじめやからかいの原因になる可能性もある』、、、社会福祉学科の学生だからこその気づきも多かったように思います🙌

授業後には「健康観察は朝だけでなく1日を通して実施されていて、教員全員で子どもを見守っていることが理解できた」「様々な場面で多くの目で観察しているからこそ、子ども理解につながるのだと分かった」「子どもの頃、健康観察の時にハンカチとティッシュの確認があったが負担だったことを思い出した」「子どもを観察する専門家として、心身のSOSに早期に気づけるようになりたい」「子どもを理解するために必要な観察の視点と方法を学級担任にも伝えていきたい」といった感想が寄せられました。  毎回の授業で行うディスカッションでは、学生同士がお互いの意見に応答し合い、養護教諭として「聴く力」「聴いていることを伝える力」も同時に育めているように思います💕

                                  (文責 湯原)

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