【介護を勉強したいと思っている受験生必見】介護をするのに、養成校は必要ですか?の問いに
21.01.29
こんにちは 介護福祉コースの池田です。
今回は、自分なりにモヤモヤしていたことが腑に落ちたことをお伝えできたらと思い、それを記事にしました。
高齢者施設(福祉施設)の現場では、極端な話無資格でも働くことができます。その一方で、国家資格もちゃんとあります。私は介護福祉士を養成する仕事に就いて20年近くたちますが、「養成校は絶対に必要」といつも言っていたし、本当にないとダメだと思っています。だけど、「なぜ?」の問いに、いつもモヤモヤ実はしていて、私の中で必要なんだけれども、はっきりとしたコトバで伝えられず、長い長い説明をさせてもらっていたように思います。
また、「介護福祉士をとるのに、4年制を出る必要はありますか?」というお言葉も実はよく尋ねられていました。それに対しても価値があるものだと言っていましたけど、もっと明確に伝えられるコトバはないか、モヤモヤしていました。
去年、久しぶりに高校へ介護の仕事の話をさせてもらいに行きました。対象は1年生。なりたい職業を見据えて今は大学を選ぶ時代となってしまいました。「1年生なんて、何になりたいかなんて、まだわからないのではないかな?」と思ってしまいますが、私も介護の道に進もうかなと考え始めたのは高校1年生でした…。
その高校へ介護の仕事を話すときに、なるべくわかるように専門用語は使わず、バシッと理解できるように、自分の中で「なぜ?」を何度も繰り返して言葉を砕き、まっさらな高校生に「え?介護って面白いじゃん」「そうか、介護をするなら4年制だな!」と思ってもらえるように授業の内容をあれこれ考えました。そこで、モヤモヤしていたことをやっとはっきりしたコトバで表現できたので、ここにもそれを書きたいなと思った次第です。
「どうして4年制に行く意味があるのか?」「どうして介護福祉士を養成校でとる意味があるのか?」
養成校を出る意味は、1つは、やはり基礎を叩き込まれること。現場に出て応用を利かせるためには基礎がなければできない。理屈で分かってないと応用はできないということです。2つ目は、介護過程をバッチリ学べること。これは、介護に関連するすべての科目を網羅して行うものです。私は学生たちに、「介護福祉士が名称独占の国家資格で、国家資格がない介護職の人は介護士と呼ばれることが一般的になったけど、その違いは「福祉」がないってこと。目に見える違いはそこだけど、でも真の違いは『介護過程』だと自分は思っている。だから絶対的にマスターしなければならないスキルだから、しっかりやろう!」とゲキを飛ばします。また、3つ目としては、養成校は系統立てて介護を学んでいきます。高齢者や障害者に対する直接的な介護の方法からその方々を守っている法律まで学ぶので、全人的に考え、介護をするのに様々な角度からのアプローチの仕方を考える力を養うことができます。
そして、4年制を出る意味ですが、介護福祉士は、専門学校でも2年制の短大でも介護福祉士受験資格を得ることはできます。だからこそよく尋ねられるわけですけど、4年制だからこそできる【寄り道】があります。介護とは直接関連性がないことを次から次へと学びます。教養だったり、ゼミで介護とは関係があるようなないようなことを真剣に調べたり討論したり。けれど、介護は「人相手」だから、そういった【寄り道】がどう活かされるかはわかりません。ゼミ合宿で被災地に見学に行ったことが介護の現場での高齢者の戦争体験の話に共感する助けになるかもしれません。小学生に福祉教育をどう教えるかを討論したことが、客観的に理論立てて物事を考え、利用者の介護計画を立てるときに役立てられるかもしれません。そういった【寄り道】たちが、現場に出たときに養成校で培った「基礎力」と混ざり合って、【利用者に合ったさまざまなアプローチが考えられる=創造できる力】になって発揮されていくのだと思います。
創造できる力を持つということは、自分の介護の引き出しをたくさん持っているというです。これは、自分が思うように利用者の方がなってくれないときに、「カギを閉めちゃおう!」とか、「無視しちゃえ」とか、「大きな声を出して抑え込んじゃおう」といった介護にはならないと思うのです(思いたい…)。「ダメだったら次の一手を考えよう」と思うはずです。そして、利用者に振り回されることをちょっと楽しんだりすることだってできると思います(ドMか!)。そこが養成校を出た、4年制を出た介護福祉士の底力なんだと思います。(もちろん、実務経験を積んだ人たちにも素晴らしい人たちはたくさんいます。実際に何人もの人たちとお会いしてきました。ですが、そこに至るまでに人生経験と独学とでたゆまぬ努力をされてきたのだと思います。)
介護をするのに、養成校は必要ですか?の問いに
「あなたは介護を受ける立場になったとき、拘束されたいですか?介護者の意のままにされたいですか?」とお尋ねしたい。「どのような自分になったとしても、自分らしく、自分の意思を尊重してくれる介護者がそばにいてほしいとは思いませんか?」と。それを最重要事項として教育しているのが養成校なんです。一人でも介護の引き出しの多い、創造力のある介護福祉士になってもらうために。
新しく介護のお仲間になった介護人形。名前はまだついていませんが、これからどんどん利用していきます。 介護福祉コースのみんな、お見知りおきを!