心理・福祉学部 社会福祉学科

学校における子どもの早期支援とソーシャルワーク

20.07.09

みなさん、こんにちは。
社会福祉学科の教員の横井葉子です。
ソーシャルワーク論や社会福祉援助技術論を担当しながら、養護教諭コースの3年生の担任をしています。
専門はスクールソーシャルワーク(教育・学校現場におけるソーシャルワークの展開)です。
その関係で、学校現場の状況を見たり聞いたりする機会に恵まれています。
今日はその視点で学校の子どもたちのいまをスケッチし、授業とのつながりを考えてみます。

我が家の目の前に小学校があります。
授業のはじまりと終わりを知らせるチャイムが聞こえ、登下校の子どもたちが目の前の道を通ります。

ご存知のように、学校は2月の終わり頃から5月にかけて新型コロナウィルス感染拡大防止のため休校となっていました。この間、学校の校舎はしーんと静まり返っていて、チャイムも鳴りませんでした。子どものいない学校はさびしいものです。学校のそばを通りながら、外出自粛の重苦しい気分をがらんとした学校の様子に重ねていました。

6月になって休校が解け、子どもたちが色とりどりのマスクをつけて学校に戻ってきました。というより、ようやく2カ月遅れの新学期がはじまりました。最初は「分散登校」といって、子どもを学年や学級によってちがう時間帯や曜日に登校させます。やがて給食が始まり、6月後半には「完全登校」になって、ようやく子どもたち全員が一緒に学校で過ごせるようになりました。では、学校は休校前の時間割りに戻ったのでしょうか?答えは「いいえ」です。

先週の土曜日、くつろいで窓の外を見ていると、子どもたちが登校していくのが見えました。1年生も黄色い帽子をかぶって粛々と学校へ向かいます。「土曜日なのに、参観日なのかな」と思って見ていると、校内放送が聞こえてきました。「今日は土曜日です。5時間目まで授業があります。体温を測ってきていない人は、保健室まで来てください。体温を測ります」。養護教諭が朝の呼びかけをしているようです。

驚きました。土曜日の午後まで小学校が授業をしているのです。どうやらこの学校では、1学期の間は、毎週ではないかもしれませんが、土曜日も普通に午後まで授業をやるようです。大幅に遅れた授業時間を取り戻すために、どこかで多く授業を行う必要があるのです。それによって、夏休みを少しでも長く取れるようにと市全体で取り決めたのでしょう。他の市町村では、今年の夏休みは8月の10日間だけになるという話もあります。また、夏休みは比較的長くとれるけれど、1コマを短くした上で7時間目まで授業をする学校もあると聞きます。子どもたちも先生も(たぶん親も)大変です。

土曜参観日ではなかった証拠に、月曜日にはまた普通に学校が始まりました。これは、子どもも先生も、相当疲れがたまってくるはずです。たしかに、子どもというものは大人が考えるよりも環境に適応する力があります。しかし、これまで3ヶ月も家にこもりきりで過ごしてきており、今の生活とは大きなギャップがあります。実は、普段から不登校ぎみでも分散登校の間は数日に1回の登校となるので、無理なく学校に来られていた子どもが多くいました。しかし「完全登校」となった現在、多くの子どもたちが落ち着かなくなったり不安を増幅させたりといったSOSを出してきています。これから夏休み明けまでの間、どれくらいの子どもたちが学校のペースについていけるでしょうか。

ネガティブにとらえればきりがありません。休校明けに子どもたちに負荷がかかることは、早くから学校の教員や管理職にはわかっていましたから、スクールカウンセラーなどを講師に迎えて休校明けの子どもたちへの対応を研修していました。周到な準備を経て、難しい中でも最善の選択をしていまの状況があるのです。すべてがうまくいくことを目指すのは、いまのような状況では無理でしょう。ですから、いまこそ子どもたちのSOSを早期に見つけて支援することが重要です。そのために養護教諭やスクールソーシャルワーカーが発揮できるはたらきが多くあります。たとえば、ソーシャルワークの授業で学ぶ「バイステックの7原則」にあるように、「受容」の姿勢で子ども1人ひとりの訴えを受け止めること。子どもや保護者の非言語コミュニケーションに留意しながら話を聞き、信頼関係を作ること。1人ひとりの子どもを個別的にとらえ、困っていることの中からその子の「ニーズ」を明らかにし、解決に向けて一緒に計画的に取り組むこと。子どもや保護者の「ニーズ」を学校の管理職や関係機関に対して代弁すること。教員や関係機関と子どもを支援するチームを作って、連携しながら子どもや家族を支えること。これらの基本はみな、社会福祉学科で学ぶことです。

いま、ソーシャルワーク論や社会福祉援助技術の授業では、これらをオンラインの授業で教え学んでいます。対面でないことの限界もありますが、ソーシャルワークとはどういうものかを学生のみなさんとのオンラインのやりとりの中で伝えようとしています。学生のみなさんはよく勉強され、質問によって疑問を解消しようとされたり、私が思いつかなかった新鮮な指摘をくださったりしています。今学期一杯はオンライン授業を続けることになるので、冒頭でご紹介した小学生や先生方のがんばりに負けないように、準備やフィードバックを続けていきたいと思います。

PAGE TOP