心理・福祉学部 社会福祉学科 │ 聖徳大学

学科長コラム⑬  学外研修Ⅰ                  「志賀高原研修」の意味を考える

24.08.01

みなさん、こんにちは。
学科長の山田でございます。

まもなく8/5~8/8の日程で、1年生の学外研修Ⅰ「志賀高原研修(3泊4日)」が実施されます。1年生は入学後まもない4月初旬に2泊3日のFC(Freshman Camp・導入教育)を経験し、5月には半日のチャレンジディと仲間との体験活動を積み重ねてきました。大学生活になじんだうえで今回の行事に臨みますが、期待と共に不安も大きいかもしれません。これら一連の行事は必修科目「聖徳教育Ⅱ」に位置づけられている必修科目で、聖徳教育は聖徳大学教育の根幹を成しています。

学外研修Ⅰの目的は次のように位置づけられています。

1.集団教育の中で、社会人となるための規則正しい団体生活を理解し、自制心を養い、他人に対する思いやりの気持を涵養することを目的としている。

2.併せて、志賀高原の自然の中で生活することを通じ、地球環境を肘するため、それぞれがどう行動していけばよいかを考え、実践する機会として位置づけている。

3.これらの目的を達成することにより、本学の建学の精神「和」が理解され深めていくことができるはずである。

 1年生は高校時代にオンラインでの授業体験や友達とのオンライン「つながり」を経験してきています。入学後は初めから対面授業を受けてきました。「直接会うこと」になる対面授業や、入学後の「初めての体験を一緒に共有する」という学外研修は何をもたらすのでしょうか。

ネットの記事になりますが、他者への信頼関係の構築について、元京都大学総長の人類学者山際壽一先生が次のように述べていました。

 「同じ釜の飯を食う」ということわざがあります。学外研修は新たな体験はもちろん重要ですが、「同じ釜の飯を食う」ということわざが示すように、学外研修という非日常性のなかで、知らず知らずのうちに五感を使って築いていく信頼関係の構築とその強さが想像できるのではないでしょうか。「同じ釜の飯を食う」とは、①ある程度の期間、他人同士が同じ家で起居を共にする、ないし、学校や職場で生活を共にする。または、②同じ共同体が同じものを食べることによって、共同体としての帰属意識を持つこと。あるいはそれを強化すること。等を指しています。美味しいものを一緒に食べる幸福感、感動的な経験を共有する幸福感を経ての信頼関係は何物にも代えがたいものになります。

 「人間は、視覚と聴覚を使って他者と会話すると脳で「つながった」と錯覚するらしいが、それだけでは信頼関係までは担保できないと言えます。本来、信頼感というものは『身体の同調』でしか作られないものだからです。身体の同調とは、具体的にいえば、誰かと一緒に同じものを見る、聞く、食べる、共同で作業をする、といった五感を使った身体的な共感や、同じ経験の共有のことです。なぜなら人は五感のすべてを使って他者を信頼する生き物だからです。その時、鍵になるのが、嗅覚や味覚、触覚といった本来「共有できない感覚」なのです。他者のにおい、一緒に食べる食事の味、触れる肌の感覚。こうしたものが他者との関係を築くうえで最も大事なものになります。これには当然、時間がかかります。その代わり、言葉のやり取りだけではとうてい得られない強い信頼を互いの間に築き上げることができるのです。」

 志賀高原で「美しい本物の自然」に接し、そこに身をおくという体験が、みなさんの成長過程の良い「記憶」として残されることを期待しています。多くの卒業生から「聖徳愛」「母校愛」の強さを感じます。その思いはこのような聖徳教育によって、培われてきたものかもしれません。
今年の志賀高原研修が無事に終了し、大きな成果とつながることを願っています。

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