学生にすすめたい本 ①
24.06.15
社会福祉学科教員の横井です。私は本を読むのが好きです。特に子どもの本、絵本には詳しいです。また、写真集にもこだわりがあります。そこで、このブログで今後不定期に社会福祉学科の学生のみなさんに手に取っていただきたい本をご紹介しようと思います。今回はその第一弾、『ホワイトバード』(R. J. パラシオ著、ほるぷ出版、2023年)です。
この本は、第二次大戦中にナチス・ドイツ軍に占領されたフランスで、ナチスによる迫害を生き延びたユダヤ人の少女と、少女をかくまったクラスメイトの少年の物語です。
学生のみなさんは、ヒットラーが率いるナチスが当時のヨーロッパにおいてユダヤ人を差別し、虐殺したことをご存知だと思います。『ホワイトバード』の物語は、そうした時代を背景に書かれています。実話ではなくフィクションですが、フランスにおけるユダヤ人迫害にまつわる出来事やナチスに抵抗した人々の生活の様子について、物語を通じて知ることができます。巻末にわかりやすい解説も付いています。児童向けの本ですが、やさしい文章と工夫のある構成で、私たち大人にも現代をどう生きるべきなのかを問うてきます。著者のパラシオは『ワンダー』というベストセラー小説の作者だそうです。明るい色の表紙や骨太で飄々としたイラストにも力づけられます(日本語版イラストレーション 吉井みい)。
社会福祉士や精神保健福祉士が実践のよりどころとしている「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義の日本における展開」の文中には、「ソーシャルワークは、差別や抑圧の歴史を認識し、多様な文化を尊重した実践を展開しながら、平和を希求する」という箇所があります。ですから、この本に書かれたことは、ソーシャルワークを学ぶ人の心を耕してくれると思います。
本は今、図書館6階のエレベーター前の書棚に展示してあります。黄色い表紙が目にとまったら、手に取ってみてください。