心理・福祉学部 社会福祉学科 │ 聖徳大学

第3回 客員教授毒蝮三太夫先生 講義:「認知症を知る、支える」ということ

23.11.27

皆さま、こんにちは。 社会福祉学科助手の和田です。

師走が近づくにつれ、天気・気温も大きく変化しておりますがいかがお過ごしでしょうか。

11月27日(月)客員教授毒蝮三太夫先生による3回目の講義が行われました。

はじめに、学生レポートを通して、「介護職員の人材不足」や「老々介護の末に起きてしまった哀しい事件」など、ご自身と交流のある在宅介護をされている方や施設関係者と対談された内容を交えながら講話してくださいました。また、学生からの質問から「SNSなどの誹謗中傷」について、先生自身が思慮されていることも語ってくださいました。

前回の学生レポートからの振り返り

今回は、「認知症」をテーマに語ってくださいました。

毎年、認知症という疾患やその疑いにより行方不明者数はいくつだと思われますか。

昨年度は1万8709人と、2012年の9607人から10年でほぼ倍増となっています(参照:認知症の不明者1万8千人、10年で倍増 警察庁まとめ – 日本経済新聞 (nikkei.com):2023年11月27日閲覧)。

認知症という疾患によって起きる事件は哀しみだけでなく、その人たちと関わる人たちにも影響いたします。また、認知症の中核症状、BPSD(周辺症状)によってもたらされる利用者の行動について理解されていない部分があります。

認知症利用者の徘徊や暴言などは、本人の行為ではなく、認知症という疾患によってもたらされています。そして、物忘れと認知症症状は違うことを理解する必要があります。

しかし、本人がしている行為ではないことを理解するためには、心の隙間を作る必要があります。そのためには、日ごろからのコミュニケーションが大切であること。

コミュニケーションは、認知症利用者本人だけでなく、周囲の人たちとの関わりも大切です。

それによって、今自分がどんな辛い立場にいるのか。辛い時にだれが助けてくれるのか。こうした人と人とのつながりが認知症利用者を支えることができる。また、その疾患を理解することによって、在宅介護されている方や現場で実践されている方の感情も緩和できるのではないかと講話されておりました。

最後に、毒蝮三太夫先生より、著:耕治人『天井から降る哀しい音』(講談社,東京.1986年11月28日)の一節を語ってくれました。

この物語は、50年余連れ添った老夫婦の終焉間近い困窮の日常生活をとおして、今や80歳同士の老夫婦だけの生活が、今の世の中でどう行われているか、哀しいが誰もが身につまされる真実の日常が記されています(参照:『天井から降る哀しい音』(耕 治人,中川 一政)|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp):2023年11月27日閲覧)。

毒蝮三太夫先生の語りから見えてくる、老々介護の苦難を感じる瞬間でした。

次回の毒蝮三太夫先生の講義にて語られる「福祉・介護」が楽しみです。

文:和田早織(助手)

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