【授業】基礎栄養学実験
21.03.19
こんにちは!
今回は、1年生秋学期に行った「基礎栄養学実験」を紹介したいと思います。
私たちが食べる糖には、お砂糖や、でんぷん、水あめ、果物の甘味の糖などいろんな種類があります。
同じ糖でも、それぞれ構造が違いますが、消化や吸収のしくみから体内での代謝、はたらきも含めてそれらの運命は違います。
食べたものがどのように巧妙に利用されていくのか、それは基礎栄養学の授業の基本となるところですが、1年生の実験授業では代表的な糖について、
構造的な特徴をつかむことを目的としてその性質を利用した「呈色試験」を行いました。
糖は10種類!
アラビノース:その仲間は、トウモロコシやアラビアガムに含まれるお砂糖(スクロース)の消化酵素を阻害することで、高血糖を抑える
キシロース:色と香りを演出する、安心・安全な食品添加物として利用
グルコース:血糖としておなじみ
フルクトース:果物の甘い糖
ガラクトース:牛乳の糖を分解したもの
ラクトース:牛乳の糖
マルトース:水あめ、でんぷんを分解したもの
スクロース:お砂糖
ラフィノース:機能性食品、ビート(砂糖大根)から得られる天然のオリゴ糖、善玉菌のビフィズス菌の増殖効果
でんぷん:お米、芋の糖
写真は還元糖を検出する実験で、「銀鏡反応」といいます。
「還元糖」だと銀鏡が試験管の壁にできます。
糖溶液に硝酸銀アンモニア溶液を加え、65℃の湯浴中で加温します。
すると、その結果・・・
還元糖(ここではスクロース、ラフィノース、でんぷん以外)で、銀鏡の反応がでました!
特にラクトースとマルトースは、顔が映るくらいにきれいな眼鏡ができました。
糖が銀を還元(電子を与えた)した結果です。
高校の化学で、アルデヒドの性質として、おなじみの反応かもしれません。
糖ではケトンでも銀鏡ができます。
最初に紹介した中では、お砂糖とでんぷんは同じ性質で非還元糖、果物と水あめの糖は還元糖だとわかりました。
このようにたくさんある糖を実験によって区別することができます。
糖の実験はこのほかにも、
バーフォード反応、セリワノフ反応、ベネディクト試験、フロログリシノール反応、5-ヒドロキシ-1-テトラロン反応などがあります。
結構、きれいな色彩になって楽しめます!
一通りそれぞれの糖での反応を調べた後は、単糖か、還元糖か非還元糖であるか、ケトンかアルデヒドか、ペントースかヘキソースか、などから類推して、未知糖類の判別試験も行いました。
学生さんから提出された結果と考察はよくできていて、未知糖質の類推についても、根拠もしっかり書けていました。
コロナ禍のオンライン授業で、うまく映像を届けられるか、スタッフみんなが心配でしたが、糖質に関する理解も深まっていると、一安心。
現代においては、食べ物は、「健康によいから食べる」…つまり、栄養学は、機能性を担う成分や代謝物の発見と、それに対するからだの応答が明らかにされつつある時代になってきています。
基礎から様々なことを発展させてその英知に触れる。
その一歩として、いろいろな実験を一緒に体験していきたいですね。
早くその日が来るのを楽しみにしています。