臨床栄養学実習Ⅰ(3年生)【1】
23.07.27
治療用特殊食品を使った腎臓病食の調理実習(1)
~低たんぱく質の米飯・麺を使った たんぱく質コントロール食~
■慢性腎臓病とは
慢性腎臓病(CKD)とは、「腎臓の障害」もしくは「腎機能低下」が3か月以上持続している状態の総称です。食事からたんぱく質を摂りすぎると腎臓に負担をかけるため、腎機能が低下した場合、たんぱく質の制限が医師から指示されることがあります
■慢性腎臓病の食事療法
たんぱく質は、肉や魚、卵、大豆などに多く含まれていますが、米や小麦などの穀類にもある程度含まれています。食事からのたんぱく質を制限する場合、肉や魚ばかりを減らすと食事の満足感が下がりますし、また、肉や魚は良質なたんぱく質を含むため、食事全体のアミノ酸価(たんぱく質の栄養価を示す指標)も下がってしまいます
■低たんぱく質の治療用特殊食品
そこで、活用したいのが、低たんぱく質に調整された米や麺です。これらは「治療用特殊食品」と呼ばれています
3年生が受講する臨床栄養学実習Ⅰの調理実習では、たんぱく質を通常の25分の1に調整してあるパックご飯と、麺を使って、カレーピラフとビーフン風焼きめんを調理しました
レシピは、『腎臓病食品交換表 第9版 治療食の基準、黒川清、中尾俊之、小沢尚、酒井謙 編、2016、医歯薬出版株式会社』を参照しました。

低たんぱく質のパックご飯

低たんぱく質の「でんぷん細うどん」
■いざ、調理!
●ドライカレー
豚ひき肉とみじん切りにした野菜を炒め、カレー粉や塩こしょう、コンソメで調味します!そこに、低たんぱく質のパックご飯をほぐし入れて、よく炒めます

●ビーフン風焼きめん
食べやすい大きさに切った豚肉と野菜を炒めて、しょうゆ、塩こしょうで調味し、そこに茹でた低たんぱく質麺を加えて、さらに炒めます
調理過程は簡単ですが、低たんぱく質のご飯と麺はかたまりになりやすく、ほぐしながら炒めるのが難しかったようです

■できあがり!試食
おいしそうに仕上がりました!
●ドライカレー
カレーの風味が香ばしく、1食あたりの食塩相当量が0.9gにも関わらず、十分においしく感じました

●ビーフン風焼きめん
彩りも良く具もたくさん入っていて、食べごたえがありました

■治療食でもおいしく、続けられるように
管理栄養士は、病気により食事に配慮する必要のある患者様をサポートしますまた、食品会社による治療用特殊食品の開発も患者様を支えていることがわかります。これからも、さらに患者様が続けやすい食事療法の発展が期待されます