人間栄養学部・人間栄養学科 │ 聖徳大学

【研究室紹介】肥満者における緩やかな炭水化物制限に脂肪酸の指導を加える影響

22.06.22

臨床栄養学研究室で実施した研究についてご紹介します😊✨

 

n-3系多価不飽和脂肪酸は健康によい油として広く知られていると思います✌️♥
その、n-3系多価不飽和脂肪酸は、大きく2つに分類されます。
〇魚類由来🐟のEPA、DHA
〇植物由来🌱のαリノレン酸
です。

魚類由来のEPA、DHAは、サバやイワシなどの青魚に多く含まれています。
また、αリノレン酸は、シソ油やエゴマ油、亜麻仁油などに多く含まれています😀

 

元々は「魚の油は身体にいい」から始まった、nー3系多価不飽和脂肪酸キャンペーンですが、最近では、αリノレン酸を含む油が多く販売されており、食生活に取り入れやすくなっています🍴😋🍴
さて、n-3系多価不飽和脂肪酸の健康への効果はいかほどでしょうか。

 

EPA、DHAが循環器疾患の予防に有効であることが観察研究に示されていますが、介入研究では予防効果がはっきり示されていません。
また、αリノレン酸の摂取の多さと循環器疾患の発症率・死亡率の低さが弱く関係することが観察研究で示されています😲
ただ、エビデンスレベルが高い介入研究では、はっきりとした効果が示されていないのです😭

我々の研究グループは、肥満の男女に緩やかな炭水化物制限を指導し、その半数の対象者のみに飽和脂肪酸の制限とnー3系多価不飽和脂肪酸の制限、つまり脂質に関する指導も併せて行いました。そして、28日間後の食事摂取量や血液生化学検査、体重測定を実施しました💉💦

我々が実施した、nー3系多価不飽和脂肪酸制限の指導内容は、
〇成人の目安量を摂取できる魚類の一覧表を提示して魚類を積極的に食べる🍴😋
〇魚類が摂取できない日は、「えごま油」1包(3g)を摂取する。
というものでした。


(LC群:炭水化物制限、LCFA群:炭水化物制限+脂質に関する指導)

その結果、
魚を摂取したのは平均8.0日、えごま油を摂取したのは平均20.5日でした(両方食べた場合があるため、合計が28日以上になっています)。
えごま油でもよいという選択肢があれば、摂取するのが簡単なえごま油が主な摂取源になるという結果で、摂取調査に合わせて、血中のαリノレン酸濃度も増加していました。

全体的な結果としては、全ての対象者において、エネルギー摂取量および体重が減少しました。また、脂質に関する指導を追加した対象者は、脂肪肝に関連するγGTPが下がりやすく、また体重が減っても筋肉💪が減りにくい傾向がみられました😲

炭水化物制限を実施する際には、同時に脂質の摂取方法についても配慮する必要がありそうです🤔🍚

興味を持っていただいた方は、ぜひ論文をご覧ください❢
CiNii 論文 –  肥満者における緩やかな炭水化物制限に脂肪酸の指導を加える影響 : 実践的な栄養指導プログラムの検討
『深津ら.肥満者における緩やかな炭水化物制限に脂肪酸の指導を加える影響 : 実践的な栄養指導プログラムの検討.日本臨床栄養学会雑誌41(2), 152-163, 2019 』

(臨床栄養学研究室)

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