短期大学部 総合文化学科

猫話―10/21(日)オープンキャンパス「体験授業」へのご招待

18.10.12

だんだん秋が深まってきましたね。松戸キャンパスの木々も色づき始めています!

今日は、文芸・編集ブランチ担当の教員が「(=^・^=) にまつわるお話をご紹介いたします♪

「東京日日新聞」〈明治7年6月28日、第728号〉には、下総国千葉町の唐物屋で飼われていたという、虎のような姿をした三毛の雄猫の記事が載っています。この三毛猫はとても家の者に忠実で、朝起こしに来たり、外出した家族を迎えに行ったりしたそうです。明治時代、猫のことが新聞記事にもなったんですね。

それでは、文学に登場する猫というと、皆さんはどの猫を思い出しますか?

◇夏目漱石の『吾輩は猫である』の主人公の猫「吾輩」。「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」という冒頭はあまりにも有名ですね。「吾輩」は、「淡灰色の斑入の毛衣」をまとっていたとか。最後はビールを飲んで酔っ払い、誤って水甕に落ち溺死……「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。ありがたいありがたい。」(T_T)

◇芥川龍之介の『お富の貞操』に登場する「大きい牡の三毛猫」。お富が自分の貞操より、この猫を助けようとするところに衝撃を受けます (@_@)

◇谷崎潤一郎の『猫と庄造と二人のおんな』に登場する「雌猫のリリー」。庄三はリリーを溺愛していて、妻の福子はこのリリーに嫉妬。すったもんだのあげくに、庄三はしぶしぶ、前妻の品子にリリーを譲りますが……。リリーの「ニャア」には、猫好きな読者もメロメロになります(*^^*)

どの猫もチャーミングですね。古典文学にもが登場しますよ。

家猫が飼育されるようになったのは奈良時代の初め頃だと言われています。猫はそもそも中国産で、仏教伝来の際に鼠の害から経典を守るために、経典とともに日本に渡ってきたそうです〈田宮仲宣著『愚雑俎』巻三〉。

『枕草子』「上にさぶらふ御猫は」には、一条天皇のそばで飼われていたが五位に叙せられ、「命婦おとど」と呼ばれていたことが記されています。「馬の命婦」という猫の乳母までいたというから、びっくりです(=^・・^=)

平安時代には貴顕(=身分の高い人)のペットとして、「唐猫」(からねこ)が格別に愛好されます。『夫木和歌抄』(=鎌倉時代後期に成立した私撰和歌集)には、昌子内親王が唐猫を欲しがったので、花山院が探しだして奉った時の歌「敷島の 大和にはあらぬ 唐猫の 君がためにぞ もとめ出でたる」が載っています(二七・猫・一三〇四五・花山院)。

昌子内親王は、『源氏物語』の女三の宮(=光源氏の正妻)のモデルの一人と言われています。『源氏物語』で唐猫は、柏木(=「頭中将」の嫡男)と女三の宮の不義密通の物語に登場します。若菜・上巻の六条院での蹴鞠の折、女三の宮のもとで飼われていた小さな唐猫が、少し大きめの猫に追いかけられて、首綱がからまり御簾(みす)を巻き上げ、柏木が女三の宮を垣間見る結果となります。

柏木は、かねてから女三の宮に思いを寄せていました。柏木は垣間見以来、ますます女三の宮を愛おしく思うようになり、この唐猫を半ば強引に預かり受け、異様なまでに愛玩します(「ともすれば衣の裾にまつはれ、寄り臥し、睦るるを、まめやかにうつくしと思ふ。顔を見つつのたまへば、いよいよらうたげになくを、懐に入れてながめゐたまへり」)。「ねうねう」と「らうたげ」に鳴き、すり寄ってくる唐猫を、「らうたげ」と形容される女三の宮の形代(=身代わり)として「撫で養」っています。

そして六年後、柏木が女三の宮と契った夜に見た夢にも、このが登場します。『岷江入楚』(みんごうにっそ、『源氏物語』の注釈書)では「獣を夢みるは懐胎の相也」と注し、当時の俗信かとされますが、事実、女三の宮はこの逢瀬で柏木の子を宿しました。

猫が不思議で霊的な存在であることは、『更級日記』によっても知ることができます。作者が姉とともに飼っていたは、病気になった姉の夢に現れ、「自分は侍従の大納言の姫君である」と告げます。猫は、既に故人となった侍従の大納言の姫君と何か縁があったと考えられ、作者の言うことを理解できるかのような様子だったので、「例の(=普通の)にはあらず」と記されています。

さてさて、は江戸文学にも登場します。猫は化けるだけではありません。しゃべったり、嫉妬したりもします。

『宮川舎漫筆』巻4「猫恩を報」には、魚屋の恩に報いたの話が載っています。両替町 時田喜三郎の飼い猫は、いつも出入りしていた魚屋から魚を貰って食べていたそうです。その魚屋が病気で臥せって仕事ができなかった時、誰だかはわからないけれど、金二両をくれたそうです。その後、回復して時田の家に行ったら猫がいなくなっていて…。猫はどうなったのでしょう?

この続きは、10月21日(日)開催のオープンキャンパス「体験授業」でお聞きください!

★平安時代の「猫」の文学に関心をお持ちになった皆さま、鈴木日出男氏「猫」(『國文學 古典文学動物誌』學燈社、一九九四年)、宮崎莊平氏「猫の文学形象」(『源氏物語の鑑賞と基礎知識 若菜下(前半)』至文堂、二〇〇四年)が分かりやすくまとめられています。

*文芸・編集ブランチは、2019年度より図書館司書・ITコースに組み込まれます。

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10月21日(日)、オープンキャンパスを開催いたします。皆様のご来場をお待ちしております。
日時:10月21日(日)10:00~13:00
会場:メディアパーク(1号館4階)
学科説明:10:00~10:20
体験授業:「江戸の猫話」(碁石雅利先生) ※随時、実施いたします

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